「おい、”もう会社を辞めたい”と思ってるだろう?」
「え、何でわかるんですか?」
「顔にそう書いてあるよ」
わたしが勤務していた会社の新人研修の休憩時間に、教育係の先輩社員と受講生の新人との間で交わされた会話だ。
新人が入社して数日しかたっていないときだった。10数年以上前、わたしもその新人研修を受けて疲れている新人の1人だった。
せっかく正社員として入社できたのに、数日後には新人研修の段階で疲れ果てて「会社を辞めたい」という表情が外に出る。
ほとんどの新人が学生時代に不規則な生活をしていたから、「毎朝早く起きて決まった時刻に出勤する」という習慣がついていない。
文系出身の場合、3回生までに卒業に必要な単位を取得して、4回生は就活と卒論だけ、という学生も多かった。
ということは1年近く遊んでいたわけだ。
規則正しい生活を確立するまで、我慢の日々。
あれから10数年以上経過した。
「会社を辞めたい」
という表情を出した新人は40代のおっさんとなり、まだ会社で働いている。
わたしはもう辞めて、セミリタイア生活を楽しんでいる。