メールをチェックしていたら、
【最大で年11.50%(税引前)】円建てで好利率の債券をご紹介いたします!
というタイトルのメールが某証券会社から来た(受信年月:2019年3月)。
「利率が年11.5%」「しかも円建て」という条件に思わずメールを読んでしまった(笑)。
個人向け国債(変動10年物)の金利が年0.05%近辺をうろうろしている今、なぜ11.5%もの利率の債券があるのか。
それは、「債券」というより「客が大損するだけのギャンブル」だからだ。
「証券会社に寄付したい」という奇特(奇妙?)な投資家以外、手を出すべきではない。
株価を予想するギャンブル
メールで推している債券は「早期償還条項付 上場投信転換条項付 デジタルクーポン円建債券(NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信)」という長い名前の「債券」だ(商品の具体的な内容に興味がある方はググってください)。
この債券の利率は最大で年11.5%(税引前)となっている。
が、11.5%が保証されるのは最初の1ヶ月だけ。
2ヶ月目以降は次のような末路になる。
- 日経平均が上がれば債券の利率は年11.5%(税引前)、下がれば0.5%(税引前)
- 日経平均がめっちゃ上がれば債券が早期償還されて終了
- 日経平均がめっちゃ下がれば大幅に元本割れして終了
要するに、将来の日経平均株価を予想するギャンブルだ。
ふつうのETFを買った方がマシ
日経平均が上がれば年11.5%の利息がつくのだが、日経平均が上がっているということは株高だ。
なら、ふつうに日経平均連動型のETFかインデックスファンドを買ったらええんとちゃうの。
日経平均が大幅に上がると、年11.5%の利息を客に払い続けないといけないから損なので、「早期償還条項」を発動して、元本を客に返して終了する。
日経平均が下がれば客は0.5%の利息しかもらえないばかりか、元本を大幅に割り込んで損をして終了する可能性もある。
債券といいながら「大幅な元本割れ」のリスクがあるのだから、ふつうの日経平均連動型のETFを買った方がマシだと思う。
参考文献・サイト
『お金がたまる人たまらない人―なぜあの人はお金がたまるのか』(丸田潔(著), 主婦の友社, 2006)pp. 84-87「いちばん大切なことはダマされないこと~高金利、元本保証、有利を安易に信じてはいけない」
『金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか』(吉本佳生(著), 光文社新書, 2005)pp. 298-305「高金利の債券のカラクリ」
『臆病者のための株入門』(橘玲(著), 文春新書, 2006)pp.178-180「ぼったくりを目的とする商品」
仕組み債による証券会社「荒稼ぎ」の手口(2015.12.4 東洋経済オンライン)
ノックイン投信の特徴やリスクとは?(日本証券業協会)
割に合わない「仕組債」のカラクリを知る(2018.5.21 日経ビジネス電子版)
やさしい、かんたん 仕組債(しくみさい)入門(楽天証券)
※上記は2019年3月12日現在の情報です。投資は自己責任で。