中村仁一著『医者に命をあずけるな (PHP文庫)』を読む。いちばん衝撃的だったのは
実は、抗がん剤は、強力な発がん物質なのです。
と書いてあったこと。海外の抗がん剤取扱ガイドラインというのが紹介されていたので一部引用する。
・抗がん剤の錠剤、カプセル、または液体を取り扱う際はラテックス手袋を使用して、素手で触らないようにして下さい。
・抗がん剤は密封された容器に入れ、他の食品と触れないようにして下さい。
・抗がん剤がシーツや衣類にこぼれた場合は、できるだけ早くそれらを他の洗濯物とは別に洗濯して下さい。
・抗がん剤の投与を受けた後、48時間以内にトイレを使用した際は、蓋をして2度流して下さい。
抗がん剤とは普通の医薬品だと思っていたのだが、相当危険な物質が含まれているようだ。
医薬品技術が発達すれば、「がん」でさえ普通の風邪薬を飲むような感じで治る、と軽く考えていた。よく考えたら、がんで死ななければ他の病気か事件事故か寿命で死ぬだけ。結果は「死」以外にない。
著者は、
「どうせ死ぬなら、がんで死にたい」
「死ぬならがんに限る」
と主張する。理由は、
・比較的最後まで動くことができて、意識清明を保て、意思表示が可能なため
・死ぬとはどういうことか、(家族に)我が身をもって学ばせたいため
30代までなら、本書のような「最期」をテーマにした本は読まなかっただろう。30代までは生きるのに忙しく、今日と同じ日常が永久に続くような錯覚を感じ続けていた。おそらく人生は後半に入っているので、いよいよ頭が「死」を意識しだした。
死を視野に入れる方法として紹介されていたのが「余命6ヶ月」エクササイズ。「余命6ヶ月」と診断されたら何をするかを書き出し、実行するというもの。
例えば「余命6ヶ月」と診断されたら、今の職場で最期まで働き続けるか?退職して6ヶ月好きなことやって逝くか?前者なら、今の職場が天職かもしれない。後者の場合、「死期が不明だから我慢して仕方なく働いている」のかもしれない。