瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』(講談社 2011) を読んだ。
「日本は疲弊している、先は暗い」という論調なので出版年を見ると2011年だった。
デフレと震災で一番悪かった時期に出た本なのか。
本書を要約すると、
いい大学を出て、就職して、専門知識を身につけたり資格をとったとしても、一生安泰とはいえない。仁義なき資本主義社会で生きていくための「武器」とは「投資」だ。
サラリーマンはハイリスク
本書ではサラリーマンは「ハイリスク・ローリターン」であるという。
そうかな、とりあえずサラリーマン(大企業の正社員や公務員)になっておけば収入は安定するし、世間体はいいし、倒産のような「不運」でもない限り定年まで雇ってもらえそうな気がする。
そんなに「ハイリスク」とは言い切れないんじゃないのか、と思った。
しかし、読み進めると「ハイリスク」なのは「サラリーマンというステータス」ではなくて「サラリーマン的な考え方」であることがわかった。
具体的には、
- 35年ローンで数千万の借金を背負ってマイホームを買う
- ひとつの職場に「安心して」全人生を預ける
- 「稼ぎ方」を自分で考えない
といった考え方だ。
一言でいえば「自分の人生を他人(会社や国)まかせにしてしまう」ことだ。
自分の人生を他人まかせにして自分で何も考えない……これがハイリスクの正体だ。
リスクが現実化するのは「面倒を見てもらえなくなった」時だ。その瞬間「すべてを失う」可能性が一気に高まる。
- 35年ローンで買った家が震災で倒壊して借金だけが残ったらどうするのか?
- 会社の倒産、リストラ等で解雇されたらどうするのか?
- 給与カット、年金カットされて生活に困ったらどうするのか?
「どうするのか」って言われても、わからない。
「もしも」のときはどうするのか
わからなくて当然だ。
「会社や国は絶対につぶれなくて、ずっと自分や家族の面倒を見てくれる」と子供のころから教えられてきたのだから。
じゃあどうすればいいのか。
「サラリーマン」から「投資家」になることだ。
「投資家」といっても、市販の投資信託を買うことではない。それだけではサラリーマン的な考え方から脱却できない。
「投資」の詳細は本書で。
「これからは自分で考えて動かないと、平凡な生活すら手に入れるのは難しい」と思わせてくれる1冊だった。