中国株が暴落して、一番驚いたのが「売買停止」になる銘柄が多数発生したことだ。
中国株、売るに売れず-71%の銘柄が売買停止やストップ安 (2015.7.8 ブルームバーグ)
株価が暴落することはどこの国の証券取引所でもよくあることだ。
ただ、株価が暴落したからといって、「取引そのものを停止してしまう」というのは聞いたことがない。
突然、自由に売買できなくなるということは「突然、株の価値がゼロ」になる可能性があるということだ。
そこで、中国株のリスクはどのようなものがあるのか調べてみた。
驚いた。
中国株のリスク
調べたのは中国株の投資信託「三菱UFJ チャイナオープン」だ。
日本国内で買える、ふつうの中国株投資信託だ。
目論見書の「中国・香港の株式市場への投資の留意点」を読んでみる。
中国ではグローバルスタンダード(国際標準)に沿う方向で資本市場の整備等が進められていますが、国益重視の観点から、引き続き通貨規制、資本規制があり、また現行の制度が突然変更されるリスクがあります。
つまり、中国の資本市場はグローバル・スタンダードではなく、政府の気まぐれで突然ルールが変更されるリスクがあるということだ。
「株価が暴落したら取引が停止される」というのも「現行の制度が突然変更されるリスク」なのかも。
資本・技術面で優位性を持つ近隣諸国との間で政治的な摩擦が起きる可能性があり、そのために投資環境が急変する場合があります。
「資本・技術面で優位性を持つ近隣諸国」というのは、おそらく日本、アメリカだと思われる。「政治的な摩擦」というのは、今なら南沙諸島の軍事基地建設問題、沖縄県・尖閣諸島への中国公船による領海侵犯、もっとエスカレートすれば「戦争」を指すのだと思う。
「中国が日米と戦争する可能性」をちゃんとリスクとして認識しているのは中国株ファンドマネージャーのリアリティを感じる。「憲法9条があるのでリスクはありません」とは目論見書には絶対に書けない。
資本市場や会計制度が整備途上のため、日本国内の市場と比べて証券投資のための情報入手が困難な場合があります。
会計情報の信ぴょう性や情報そのものが入手困難という問題があるのに、どうやって投資判断をするのだろうか。
金融システムが脆弱なため、海外の証券市場や投資家の動きによって、証券市場が大きな影響を受ける可能性があります。
海外の投資家が一斉に資金を引き上げたら終わりということか。
一般人は怖くて投資できない
中国の内情を知り尽くしているような百戦錬磨の投資家なら、リスクを承知で投資するのもありかもしれない。
しかし、中国に行ったこともない、『論語』を読んだこともないような個人投資家が手を出すには、あまりにも危険が大きい。
と、中国株投資信託の目論見書を読んで感じた。
あくまでも、投資は自己責任で。
子曰く、夷狄すら之れ君あり。諸夏の亡きが如くならず。
『論語 増補版
』 (講談社学術文庫 2009) p.59