井形慶子『イギリス式 年収200万円でゆたかに暮らす』(講談社, 2008)を読んだ。
イギリス人のセミリタイアの実例がたくさん紹介されていて興味深かった。
年収2,000万円超もらって外資系企業の副社長の地位についていた男性が、
「これ以上ハードな仕事をしたくない」
と48歳で早期退職して、田舎で一軒家を買ってのんびり暮らしている例とか。
貯金150万円でも早期退職できる?
イギリスでセミリタイアを実践するのは、やはり年収が高いミドルクラス層が多数だそうだ。
正社員としてバリバリ働いて、「貯金+退職金」を元手に早期退職するのだろう。
でも、イギリス人の平均貯蓄額は151万円(2006年ハリファックス社調べ)だそうだ。
1,510万円のタイプミスではなく、151万円(金壱百五拾壱万円也)だ。
イギリスでは大して貯金がなくてもセミリタイアしていく人もいるという。
なぜ貯金が少なくてもセミリタイアできるのか。
詳細は本書を参照してほしいが、日本でもこの方法でセミリタイアしているケースが結構多いのではないかと思った。
キーワードは「年金」「資産運用」「低コスト生活」だ。
(本書はおそらくリーマン・ショック直前の不動産バブルの頃に書かれたものだと思われるので、「資産運用」についてはちょっと割り引いて読む必要があると思う)
「老後貧乏」を楽しむ
さらに面白かったのは、イギリス人も日本人同様「老後貧乏ネタ」で不安を煽られているところ。
でも「年金生活者は年金が少ないからお金にゆとりがなく、旅行も外食もできない」
という「老後貧乏ニュース」が出ると、反論が続々とあがったらしい。
外食ができないとか、豪華な旅行ができないということは、私たちにとってそれほど重要なことではないわ。なぜって、この年代のイギリス人はまず、レストランで食べるという習慣がないし、旅行に行く時は友達や親戚の家に電話をかけて泊めてもらうからよ。
単行本p.37
もともと低コストで生活しているから、老後も外食とか高コストな旅行なんて必要ない、というわけだ。
まあ、外食しまくったり旅行にお金をかけまくったりしていたら、セミリタイアどころかマトモに貯金すらできないから、話にならない。
「低コスト生活」が身についていれば、セミリタイア生活にそれほど莫大な貯金は必要ないな、と思える1冊だった。
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