「電子書籍読み放題の楽園」が崩壊するのか。
アマゾン読み放題、人気本消える 利用者多すぎが原因? (2016.8.31 朝日新聞デジタル)
という記事を読んだ。
2016年8月3日から開始したAmazonのKindle読み放題サービス「Kindle Unlimited」から、人気タイトルが消え始めているらしい。
サービス開始に合わせて多くの書籍をそろえようとしたアマゾンが、出版社に配分する利用料を年内に限って上乗せして支払う契約を締結。しかし想定以上の利用が続いて負担に耐えきれなくなり、利用が多い人気本をラインアップから外し始めたとみられる。
上記記事
Kindle Unlimitedのビジネスモデル
記事によると、Kindle Unlimitedのビジネスモデルはこうなっている。
- Kindle Unlimitedの会員は、Amazonに利用料として月額980円を払う(ただし、入会後30日間は無料)。
- Amazonはタイトルのダウンロード数に応じて、会員から集めた利用料を出版社に配分する。
- 一部の出版社を対象に、年内に限って規定の配分に加えて「上乗せ料金」を払う。
わたしの想像だが、「一部の出版社」というのは、人気タイトルを多く所有している大手出版社だと思う。
人気タイトルを「客寄せ」としてKindle Unlimitedに加えることで、会員数の増加を目指したのだろう。
「上乗せ料金」はダウンロード数に比例して決まっていたのではないか、と推察する。
人気タイトルは当然ダウンロード数が多くなるから、Amazonが「上乗せ料金」として用意した予算があっというまに枯渇したのではないか。
会員数増加がダウンロード数に追いつかない?
Kindle Unlimitedの会員数が増加していけば、ダウンロード数が増えていっても運営できるように設計していたのだと思う。
記事によると、Amazonから出版社側には、
アマゾン側から「想定以上のダウンロードがあり、出版社に支払う予算が不足した」「このままではビジネスの継続が困難」などの説明があったとしている。
上記記事
と説明したという。
「月額980円」では運営できないほど、ダウンロード数が激増したようだ。
さらに、「Kindle本をお金を払って買う人が激減」したのではないだろうか。
わたし自身、Kindle Unlimited入会後は、Kindle本を購入していない。
読みたい本がKindle Unlimitedになくても「そのうちKindle Unlimitedに入るだろう」という期待(妄想?)を持ってしまう。
「映画館に行くのはカネがもったいないから、テレビで放映されるのを待つ」という心理と同じだ。
財布のヒモが固くなる。
Kindle Unlimitedの未来
さて、早くも財政難らしいKindle Unlimitedはどうなるだろうか。
利用料が値上がりするだろうか?
しかし、現在の利用料(月額980円)を値上げするとしたら、1,000円を超えるのは明白だ。
桁が増えてしまうと、解約者が激増するだろう。
人気タイトルをKindle Unlimitedから外して、素人が小遣い稼ぎで出しているような「駄本」ばかりになると、「月額980円は高すぎる!」と感じてしまう。
「質」を落とせばダウンロード数は減って、出版社への支払いは減るが、会員数も減るだろう。
料金を上げるか、質を落とすか……。
どうなるんだろうか。
売り上げランキング: 557