人口減少が問題になっている。
労働力が減ることで年金制度が危うくなったり、慢性的な人手不足になったり、NHKだと受信料収入が減ったりするのが心配なのだろう。
わたしは「人口減少」と聞くと世界史で習った「農奴解放」を思い出す。
中世ヨーロッパで人口が激減したせいで「農奴」が領主の支配から自由になれたのだ。
人口減少は悪いことばかりではない。
人口減少で自由とお金が増える
中世ヨーロッパでは領主が農民を「農奴」として支配する「封建制」だった。
が、封建制が崩壊して農民が解放されるきっかけとなる事件が起こった。
「ペスト(黒死病)の流行」だ。
14~15世紀にかけて、ペストの大流行と戦乱で人口が激減した。
主要な労働力である農奴が大量に死んで「超人手不足」となる。
結果、生き残った農奴の「価値」が上がった。
領主は希少価値が高まった「農奴様」の歓心を買うため税負担を減らしたり、権利を拡大するなどの「待遇改善策」をとらざるを得なくなる(「人口が減少するから増税」という某国とは逆の政策)。
結果、豊かになった農民は領主に支配される「農奴」でなくなり、経済的に独立した「独立自営農民(ヨーマン)」となっていく(つまり、国民を増税で貧乏にしておけば国家への依存度が高まる)。
人口が増えたら
もし、人口減少対策が成功して人口が増えたらどうなるか。
労働者一人あたりの価値が下がる。
人手不足時代のようにチヤホヤしてもらえなくなる。
地方も人口がそこそこ増えれば、「ふるさと納税の返礼品」や「移住者への優遇策」も必要なくなるかも。
そんなの、やだよね。
<参考文献>
『詳説世界史研究』(山川出版社, 2008)p. 204 第7章 ヨーロッパ世界の形成と発展「封建制・荘園制の崩壊」