楽天カードで最近「ポイント還元率の改悪」が続いている。
改悪 1楽天ゴールドカード サービス改定のご案内(楽天カード)
改悪 2公共料金等の楽天カード利用獲得ポイントに関するご案内(楽天カード)
楽天で相次ぐ“ポイント改悪”……それでも顧客は流出しない?(2021.3.12 ITメディアビジネスオンライン)
という記事によると、改悪の原因は楽天が会計に採用している「国際会計基準(IFRS)」が背景にあるとのこと。
国際会計基準で売上が減る
国際会計基準ではポイントを還元した分、売上げを押し下げるのだ。
楽天はモバイル事業等の先行投資で大きな赤字を出している。
参照楽天、20年は過去最大の赤字1141億円 携帯・物流の投資が重し(2021.2.12 Reuters)
赤字を埋めるためには、ポイント還元を改悪して売上げを押し上げなければならない。
国際会計基準でポイント還元すると
ポイント還元すると国際会計基準ではなぜ売上げの押し下げになるのか?
例えば、100円ごとに2ポイント還元するクレジットカードがあったとする。
国際会計基準だと、100円の商品が売れた時点で計上できる売上はポイント還元分(2ポイント = 2円)を控除した98円となる。
【2021.3.14追記】正確には、定価 × 定価 / (定価 + ポイント) = 100 × 100 / 102 = 98 円しか計上できない。
ポイント還元した2円分の売上は、「ポイント使用数」や「使用されると見込まれるポイント数」などで計算して計上していく。
参照ポイント引当金の仕訳や会計処理の変更点の解説! #31(会計監査News@クロ)
つまり、国際会計基準ではポイントを還元すると売上の一部の計上が将来に先延ばしされてしまうのだ。
ポイント還元を「100円ごとに2ポイント」から「100円ごとに1ポイント」に「改悪」すると、100円の商品が売れた時点で計上できる売上は「98円」から「99円」に「改善」される。
つまり、楽天のような販売業者側から見ると「ポイント改悪」は「売上アップ」なのだ。
参照「ポイント制度」が企業業績に与える影響を知る(The Motley Fool Japan, K.K.)
ポイント改悪でも客は減らない?
ポイント改悪は「売上げの押し上げ効果」というメリットがあるが、「楽天の会員が別のクレジットカードに流れてしまう」というデメリットがある。
しかし、上記記事によると「改悪があっても急激な会員減少はおこらないだろう」という。
理由の詳細は記事を参照してほしい。
わたしも、現時点(2021年3月)では「楽天カードをやめて別のカードに完全に乗り換えよう」とは考えていない。
後記
「国際会計基準(IFRS)ではポイント還元は売上の押し下げ効果がある」とはじめて知ったので、「ポイント還元で売上げが下がるカラクリ」を調べて記事にしてみた。