米政府機関の一部停止で次のような「国立公園が閉鎖」というニュースが多く報じられている。そもそも、なぜ「国立公園」が狙い撃ちで閉鎖されるのだろうか?
米2014会計年度(13年10月~14年9月)の予算案が議会を通らず政府機能が一部停止した1日、米議会では解決に向けた進展がなかった。
野党共和党が多数を占める下院が、国民に保険加入を義務づける医療保険制度改革の延期を暫定予算案に盛り込んでいることに対し、オバマ大統領はホワイトハウスで記者団に「特定の法律に対する一党派の考えで政府全体の機能を止めている」と述べ、予算の早期成立を強く求めた。
1日はワシントンのスミソニアン国立博物館などの博物館や全米の国立公園、歴史的記念碑などが閉鎖された。ニューヨークでは、島全体が国立公園で自由の女神像が立つリバティー島への上陸もできなくなった。
出典全米の国立公園は閉鎖、自由の女神も見学できず(2013.10.2 読売)
そもそも、閉鎖する対象になぜ「国立公園」が選ばれたのか?
新自由主義
「国立公園を閉鎖しても国民生活に大きな影響がない」、というのが理由なのかもしれないが。
わたしはミルトン・フリードマンの「政府が行うべきでないこと」を思い出した。
「小さな政府」「個人の経済的自由」を主張し新自由主義者とされるミルトン・フリードマンによると、次の14項目は「政府が行うべきではない」としている。
1. 農産物の買い取り保障価格制度。
2. 輸入関税または輸出制限。
3. 商品やサービスの産出規制。
4. 物価や賃金に対する規制・統制。
5. 法定の最低賃金や上限価格の設定。
6. 産業や銀行に対する詳細な規制。
7. 通信や放送に関する規制。
8. 現行の社会保障制度や福祉。(とくに老齢・退職金制度)
9. 事業・職業に対する免許制度。
10. 公営住宅および住宅建設の補助金制度。
11. 平時の徴兵制。
12. 国立公園。
13. 営利目的の郵便事業の禁止。
14. 国や自治体が保有・経営する有料道路。
出典ミルトン・フリードマン(Wikipedia)、『逆説の政治哲学 正義が人を殺すとき(ベスト新書)』(岩田 温(著), 2011)
米政府が新自由主義にもとづいて政策を実行しているのかどうかは不明だが、「国立公園の閉鎖」と聞いてピンときた。
日本の郵政民営化も新自由主義的政策
ちなみに、13と14はそれぞれ「郵政の民営化」「道路公団の民営化」として日本が取り入れた。