人件費の逆オークションがすすむ日本企業

日野瑛太郎著『脱社畜の働き方~会社に人生を支配されない34の思考法』(技術評論社)を読む。著者は起業に失敗後、やむを得ず就職する。そこで会社のさまざまな理不尽さを経験する。

著者が会社の理不尽さを人一倍感じた理由は「起業して経営者になった経験がある」からだ。経営者は会社が儲かれば莫大な報酬を手にできるが、従業員はせいぜい給料が少し増えるだけ、なのに従業員が過剰な労働を要求されるのはおかしい、ということだ。

職場で経験した理不尽さを訴えたブログ「脱社畜ブログ」は開設5ヶ月で50万PVに成長する。職場の理不尽さを代弁してくれる人というのは貴重だ。

本書では会社の理不尽さを3つ挙げている。

・サービス残業の常態化
・有給休暇の消化しにくさ
・長時間労働

そうやって、理不尽なことを耐え続けているうちに、いつしか「仕事とは、理不尽なことに耐えることだ」という認識に変わってしまう人もいる。給料は、そういった理不尽なことに耐えた対価、つまり「我慢料」であり、給料をもらうために我慢するのはしかたないことなんだ、という気持ちで働くようになってしまうのだ。


本書が指摘する理不尽さがはびこる原因は、正社員かどうかにかかわらず「人件費の逆オークション」が進んでいるからだ。「人件費の逆オークション」はわたしの造語だ。定義は、

労働者がリストラを回避するため、自主的に賃金を下げ、職場において従順さをアピールすること。

本書が挙げている3つの理不尽

・サービス残業の常態化
・有給休暇の消化しにくさ
・長時間労働

は、要するに労働者が自主的に賃金を割引セールしているのだ。もはや定価では売れないことを体感しているからである。加えて労働法、解雇のしにくさ……これらは経営者から見ればハイリスク・ノーリターンとしか映らない。

何も手を打たなければオークション価格は国際比較され、新興国労働者が提示した最安値まで下がり続ける。自社が海外進出しなくても、すでに負のグローバル化は忍び寄ってきているのだ。

この仁義なき値下げ競争から抜け出す(脱社畜する)には、本書が提案するような「プライベート・プロジェクト」つまり、その人にしかできないビジネスを展開する、というのがひとつの策だ。

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