細野真宏著『最新の経済と政治のニュースが世界一わかる本!』を読んだ。
本書を読んで冷静に考えれば、現在の年金制度は「破綻とは程遠い」状態にあることがわかる。
「年金破綻論」とは民主党が政権交代のために流した「プロパガンダ」に過ぎなかった。
年金破綻の定義
年金制度の健全性を見るには、出生率と経済成長率(実質)をチェックする。
現在の年金制度は、
出生率1.26、経済成長率(実質)が0.8%をキープできれば、現役世代の手取り給与の50%が年金としてもらえる
という制度になっている(2009年度財政検証)。
出生率は2055年までに1.26に到達できればいい。
もし、経済成長率、出生率が予測を下回れば年金制度は「破綻」に近づく。
年金の支給額(現役世代の手取り給与に対する割合)は将来的には次のようになるみたいだ。
2025年度 55.2%
2038年度以降 50.1%
金額は、年金をもらうときの経済状況による。
もし、インフレが進んで現役世代の手取り給与が月収100万円なら、年金は月額50万円となる。
だから、「将来はインフレ」と予想するなら、年金保険料は満額支払っておいたほうがいいかも。
最近の出生率と経済成長率
最近の出生率は、平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)によると、
平成20年(2008) 1.37
平成21年(2009) 1.37
平成22年(2010) 1.39
平成23年(2011) 1.39
いずれも1.26を上回っている。
一方、実質経済成長率は、国民経済計算(GDP統計)(内閣府)によると、
2008年度 -3.7%
2009年度 -2%
2010年度 +3.4%
2011年度 +0.3%
2012年度 +0.7%
よって、年金制度の課題は、少子高齢化よりも経済成長であることがわかる。だから、デフレ脱却が必要なのだ。