世界は読書家が動かす

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美女と読書

米国務省が発表した「プーチン大統領のウソ 事実と異なる10個の主張」の抄訳がハフィントン・ポストに掲載されていたので読んでみた。

参照「プーチン大統領がウソつきである10の証拠」アメリカ国務省が掲載【ウクライナ問題】(2014.3.16 ハフィントン・ポスト)

アメリカははプーチン大統領に向かって「非論理的な引きこもり!」と言いたいのだ。

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世界のリーダーはドストエフスキーを読んでいる

これは、ドストエフスキー『地下室の手記』を読んでいないと理解できない。

米露政府がドストエフスキー作品を媒介にしてコミュニケーションをとっている。

世界は読書家が動かしている。

「ロシアは、ウクライナでの違法行為を正当化するために偽りの物語を紡ぎ出した。このような驚くべき小説がロシアから生まれたのは、ドストエフスキー以来だ。『2+2=5』という公式は、魅力的だが実在しない」と皮肉たっぷりに書いた上で、以下の10個のプーチン大統領の主張を「事実を無視したり歪曲している」

「プーチン大統領がウソつきである10の証拠」アメリカ国務省が掲載【ウクライナ問題】(2014.3.6 ハフィントン・ポスト)

「2+2=5」とは何か。

これはドストエフスキーの小説『地下室の手記』の主人公が2×2=4であることに反発し、「2+2=5」を「愛すべきもの」と独白していることを引用して皮肉っているのだ。

小説の主人公は、世間との交わりを断って地下室に引きこもってしまった官吏だ。

読書家どうしのネチネチとしたコミュニケーション

つまり、米国務省の文書はプーチン大統領とドストエフスキーの小説の主人公である「世間を斜めに見る自意識過剰な引きこもり」と重ねあわせたいのだろう。かなり込み入ったねちねちとした皮肉だ。

諸君はぼくに向かってこう叫ぶだろう(もちろん、ぼくを叫ぶに値するだけの者と認めてくれたらの話だが)、何も君の意志を奪おうなどとは誰も言ってやしない、ただなんとかして、きみの意志が自分から進んで、つまり自発的な意志で、きみの正常な利益や自然な法則や、算術と合致できるようにしてやりたいと心配してやっているだけだ、と。

いや諸君、問題が一覧表だの、算術だのというところまで行ってしまって、二二が四だけが幅をきかすようになってしまったら、もう自分の意志も糞もないじゃないか?二掛ける二はぼくの意志なんかなくたって、やはり四だ。自分の意志がそんなものであってたまるものか!

(中略)

二二が四がすばらしいものだということには、ぼくにも異論がない。しかし、ほめるついでに言っておけば、二二が五だって、ときには、なかなか愛すべきものではないのだろうか

ドストエフスキー『地下室の手記』 (新潮文庫)


プーチン大統領はドストエフスキーを読んでいると思われるので、伝わっているだろう。

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