貧しいのに(ニートのくせに)「働かない」「働きたくない」なんてけしからん。
これが「働かない貧困層」バッシング、生活保護バッシングの「正義」だ。
下が下を叩く。
叩かないと「自分より少し下の者に追い抜かれる」という恐怖心があるからではないか。
下のランキング表で言えば、④働かない貧困層が③を飛び越して②働かない富裕層に昇進する。生活保護を受けると③よりも高収入になってしまうので②になる。いままで下だと思っていたのが上に行かれてしまうと、焦る。
①働く富裕層
②働かない富裕層
③働く貧困層
④働かない貧困層
収入の格差よりも税の不公平が問題
先日の記事で紹介した、飯田泰之・雨宮処凛『脱貧困の経済学 (ちくま文庫)』を再び読んでみる。
飯田 「なぜこんなに貧富の差が広がったんですか」と問われたら、僕はいつも「金持ちを減税して貧乏人に増税しているんだから当たり前です」と言います。なんだかね。
雨宮 財源のことを持ち出す、というのは「お国の財政が危ないのにそんなこと※ができるか」という文脈なんですよね。「そんな夢みたいな話、ケッ」ってことです。
飯田 しかも彼らはメディア戦略が圧倒的にうまく、みんなすぐに生活保護の話をしますよね。はっきりと言わないけど「生活保護や社会保障のせいで財政が苦しい」と匂わせる。受給者が増えているとか、ね。
でもそんなことよりも、いちばん大きいのは金持ちを減税していることなんです。75%をとっていた人から40%しかとらなくなったら、そりゃ財政も苦しくなります。
本書p.96
※そんなこと=ベーシックインカム
現在の税制は、「貧乏人からお金を取り上げて金持ちにベーシックインカム、生活保護を支給している」ような状態になっている。
格差拡大の「格差」とは「収入」ではなく「税の不公平度」だ。
一般的に努力をすれば尊敬されるから「努力をしたからお金持ちになれた」というストーリーをメディアを駆使して世間に刷り込ませれば、お金持ちが叩かれることはない。
税と年金をしっかり徴収すればすむ話なのに、「財政破綻」「社会保障費増加」とか、的はずれな話ばかりして消費税を増税してみたり、貧困層同士を叩き合わせたりしている。
まとめ
- 財政が苦しいのは富裕層から税金を取らなくなったから
- 結果、中流以下からお金を取り上げ、富裕層に生活保護として渡している奇妙な事態に
- それに気づかずに中流以下は生活保護を叩いて、浮いた予算は誰のフトコロに?