島田裕巳『プア充 ―高収入は、要らない―』を読む。
現代人が生きづらいのは「いくらお金を稼いでも、お金への執着がなくならないから」だ。
無理して稼がない
「お金への執着」とは、「高価なものが欲しくなったり、お金への不安が増すこと」。
具体的には、マイカーやマイホームのように借金してまで欲しい物を手に入れたくなり、借金が不安の種になる。
物欲で不安が大きくなる原因は「入ってくるお金が増えること」だから、仕事はほどほどにして無理せずに生活するのが一番幸せだ。
わたしが実行しているのは「成功のハードルを下げる」こと。
本書が提案しているのは「年収300万円」だ。本書の金額はあくまで一例だ。「無理せずに稼いで、高望みをせず快適に生活できる金額」と読みかえればいいと思う。
困ったら人に迷惑をかけていい
年収300万円すら不可能で生活費に困ったら……そのときは人に迷惑をかけてでも助けてもらっていい。
本書で登場する主人公は、勤務先が倒産したが相談できる相手がいたためにコネで再就職できた。
困ったときに人に助けを求めることを「迷惑をかける」と思いこんでしまって躊躇することが多い。
それどころか相談できる相手すらいないというケースも多いだろう。
- 人に迷惑をかけるな
- 他人に頼るな
- 稼げないのは努力不足、自分で何とかしろ
という考えは「豊かになって人が孤立し始めた現代における妄想(本書p.126)」だという。
「自己責任論」が出てくる背景には「孤立」がある。
「俺は孤立して他人と関わらずに自分のカネだけで生きている、だからお前も孤立して自分だけで何とかしろ」というのが「自己責任論」だ。
しかし、困ったら他人に迷惑をかけてでも助けを求めるのは人として当たり前のことだ。
自己の生存が脅かされる事態になったら、親でも友人でも国でも、利用できるものは何でも使って生き残りを考えるのは人として自然の行為だ。