本の中には「もっと早く読んでおけばよかった!」と後悔するものがある。
本書、『ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務』(石井雄一著 光文社新書 2007) はその1冊。
株式投資するなら、もっと早く読んでおけばよかった。
優良企業の条件
本のタイトルに「経営」とか「財務」という言葉があるが、企業経営者・財務担当者よりも個人投資家が読むべきだ。
これを読んでおけば、株式投資で次のような「誤った認識」を持たなくなる。
- 借金は少ないほど(自己資本は多いほど)優良企業
- 配当金が高い会社は良い、無配の会社は悪い
- 格付けは高ければ高いほどいい
- 現預金をたくさん持っている会社は儲かっている
- 利益は多ければ多いほど優良企業
- 増収増益は手放しで喜べる
これらはすべて間違い。
例えば、「借金は少ないほど良い会社」というイメージが強い。
借金は少なく、自己資本は多い方が安定していそうだ。
しかし本書で紹介されている「コーポレート・ファイナンス」の理論をもとに計算してみると、借金していたほうが良い場合というのがある。
無借金で会社経営するより、利子付きで銀行から借りたほうが、キャッシュフローに余裕が出るのだ。
なぜそうなるかは、本書を参照してください。
イメージだけで判断しない
「コーポレート・ファイナンス」とは一言でいえば、「企業がいかに低金利で資金を調達して、いかに高い利益率を得て投資家に還元するか」ということ追求することだ。
今まで何となく持っていた「優良企業」のイメージをもとに株式投資するのは危険だ。
もし投資先が「増収増益で配当金を○○円増額」と発表しても、本当に大丈夫か疑うべきだ。