邱永漢『お金の原則 』(知恵の森文庫 2001) を読み直した。
本書は、わたしが「早期退職のための貯金」に目覚めることになった「お金のバイブル」的な本だ。
会社依存が強すぎる危険性
日本企業に勤めるサラリーマンが貯金しない(できない?)理由として、「会社への依存度が強すぎる」ことを挙げている。
日本人は経済単位を「会社」に置いているが、欧米をはじめとする外国人は経済単位を「個人」に置いていることが個人の貯蓄行動、投資行動の差となっているという。
「経済単位を会社に置く」というのは、「入社~定年までの資産運用を個人ではなく会社がやる」ということだ。
日本人は経済単位を会社に置いて、個人を中心には考えない。いまのシステムでは、会社が儲けた金は会社が貯めて、個人には生活できる程度のお金しかくれない。そのかわり、定年まで会社がいろいろと面倒見てくれるわけです。これは日本独特のシステムと言っていいでしょう。
p.71
定年まで毎月キチンとお金が「給与」「ボーナス」として銀行口座に振り込まれるから、個人はお金のことは何も考えなくてよかった。
会社が振り込んでくれたお金で遊びまくってもマイホームの頭金にしても何の心配もいらない。
次の給料日までお金が持てばそれでよかった。
終身雇用は期待できない
ただし、こんなテキトーなやりくりが許されるには「終身雇用が絶対に保証される」という大前提が必要だ。
わたしの場合、「終身雇用」という制度に疑いを持ってしまった、というか、定年まで働く気力がなかったから「早期退職に備えて貯金」という行動に走ってしまった(60~65歳の定年まで一つの職場で働くことが人生の既定路線になっている人って、ものすごく精神力・忍耐力が強い人だ)。
案の定、終身雇用は実際にはなくなっている(2011年まで20年近く日本企業に勤めて、実感した)。
法的には不要な社員を「指名解雇」できないから、早期退職制度とか早期片道出向とか転籍とかで何とかやりくりしてるけど。