「7×6」はマルで「6×7」だとバツ!? かけ算の順序教育が話題に (2012.12.14 ねとらぼ)
という記事を読んだ(少し古い記事だけど)。
小2の算数の問題で「長いすが6つあります。1つのいすに7人ずつすわると、みんなで何人すわれますか」という問いの答案を、
6×7=42
としたが「不正解」とされたことがtwitterに掲載されて話題になったとのこと。
6×7≠7×6?
算数教育の世界では、「7人ずつ座れるいす6つ分座れるから、7×6=42」が正解らしい。
答えは42人という点は「6×7」でも「7×6」でもどちらでも正解だ。
わたしが興味を持ったのは、「6×7」は不正解で「7×6」を正解と教えることは、
「在庫管理システムで請求金額と在庫数の違いといった概念が身につく」
というコメントがあったことだ。
わたしはサラリーマン時代に在庫管理システムに少し関わったことがあるので、興味を惹いた。
在庫管理の世界
在庫管理の世界では、「6×7」と「7×6」は全然違う。
何が違うのか。
会社の倉庫を棚卸しして、単価が7円の商品が6個あったとする。
在庫金額は7×6=42円だ。
もし、担当者が在庫管理システムに単価=6(円/個)、個数=7(個)と入力したらどうなるか。
在庫金額は42円で正解だが、単価、個数は間違いだ。
実際の在庫は6個なのに、システム上は7個存在するから、7個の注文が入っても「出荷可能」となってしまう。
まずい。
もし、「6×7」も「7×6」も同じだと習っていたら、単価や個数といった「単位」に無頓着になるのでは。
ジェイコム事件
この記事を読んだ個人投資家なら、「ジェイコム事件」を思い出す人も多いかと思う。
2005年12月、東証マザーズに上場したジェイコム株を1株61万円で1株売却しようとした証券会社が、誤って1株1円で61万株の売り注文を出した、あの事件だ。
総額は61万(円/株)×1(株)も、1(円/株)×61万(株)もどちらも61万円だ。
しかし、ご存じのとおり誤発注した証券会社が400億円の損失を出したり、某個人投資家が大儲けしたりする大事件になった。
「61万円の株を1円で売ってくれる奇特な投資家がいる!」となれば、みんな飛びつくだろう。
実務の正解では掛ける順序を間違うと大変なことになる。
<参考文献>
臆病者のための株入門 (橘玲著 文春新書 2006)p.14「寓話としてのジェイコム男」