『仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える』(泉谷閑示(著), 幻冬舎新書, 2017)を読んだ。
けっこう人気の本で、図書館では待ち人数が多すぎて当分は借りられそうにないので、Kindle本を購入した。
購入した理由は、タイトルに惹かれたから。
「仕事なんか生きがいにするな」というのはどういう意味か。
一言でいえば、「現代の仕事で”生きがい”にできるようなものはないから、仕事で生きがいを見いだそうとしても失望するだけ」ということだ。
「何か有意義(儲かる、モテる、優越感を味わえる、誰かの役に立つなどなど)なことをしないといけないけど、何をしていいかわからない」と悩んでいる人は一読の価値がある。
「人生を、スケジュール帳を、”有意義な仕事”で埋め尽くさなければならない!!!」というつまらない悩みから解放されるためのヒントになるだろう。
何をして生きればいいかわからない
著者は精神科医で、最近の患者で激増しているのが「生きる意味」を問うケースだという。
従来は「愛情の飢え」「劣等感」「人間不信」といったことで悩む患者が中心だった。
が、最近は「何をしたいのかわからない」「存在意義」「生きる意味」に苦悩するケースが主要になってきている。
しかし、従来の精神医学や心理学ではそんな患者をもてあましているという。
「そんなつまらないことで悩んでるヒマがあったら働け!手を動かせ!」と「精神論」で片付けられてしまうのだ。
現代人が心の病気になって精神科に駆け込むほど悩む「生きる意味」とは何か?
有意義な人生なんて妄想
本書によると、人間が生きる意味を失うと、死に至ることもあるという。
人間という存在は「生きる意味」を見失うと、精神が衰弱してしまうのみならず生命そのものまでもが衰弱し、ついには死に至ってしまうこともある、ということです。
現代人が求める「生きる意味」とは、「意味」に「有意義」というニュアンスの濃度が高すぎるという。
「有意義なことをしなければならない」と思いすぎるあまりに心の病になっている。
有意義なこととは、例えば、儲かること、モテること、上司の評価が上がること、SNSで「いいね!」をたくさんもらえそうな言動、などなど。
簡単にお金が儲かって、すべてが効率的で、コスパが最高で、ちやほやされて、モテて、将来の出世が約束されていて、SNSでつぶやけば大量の「いいね!」がもらえる……という人生が「意味のある人生」つまり「有意義な人生」となる。
仕事で有意義を求めると
人生の時間のほとんどが「仕事」で占められているので、「有意義さ」を仕事で求めるしかない。
が、現実は「有意義」とはほど遠い。
はっきり言って「有意義な人生」とは「実現不可能な妄想」に過ぎない。
なのに実現しようとマジメにがんばってしまう。
なので、「生きる意味は何か?」「何をしたらいいのかわからない」と悩む人が激増している。
どうすればいいのか。
何をやって生きていけばいいのか?
わたしは仕事(といっても会社の業務に過ぎないが)に生きがいは求めず、「早期退職&セミリタイア生活」という道を選んだ。
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本書が取り上げているテーマは非常に重い。
新書1冊で解決できる問題ではないのに、よくここまでまとめられたなと思う。