西原理恵子著『この世でいちばん大事な「カネ」の話』を図書館で借りて読んだ。
借りた本なので本に直接ラインを引いたり折り目をつけることができない。
だから、心に残った言葉を引用してここに残しておく。
「損」から逃げない
わたしは思うんだけど「損したくない」ってことばかり考えていると、人って、ずるくなるんだよ。少しでも人より得しようって思うから「だったら、ズルしちゃえ」っていう気持ちが出てきてしまう。ささいなきっかけで、それがどんどん卑しい行為に結びついてしまう。
本書では「デートしたら男がおごるのは当たり前と思っている女」「お金があるのに給食費を払わない親」を例としてあげている。
自腹を切らない、つまり「お金を払う」ことから逃げまわっていると、お金は貯まるが信用を失っていく。
もっとひどくなると、「信用を失ってもいいからお金を貯めたい」と思うようになる。
「安価な労働者」になるな
従業員が従順で、欲の張らない人ばっかりだと、会社の経営者は喜ぶよね。「働き者で欲がなく、文句を言わない」というのがまるで日本人の美徳のひとつみたいに言われてきたけど、それって働かせる側にしたら、使い勝手いい最高の「働き手」じゃないかな。そういう人間が育つように戦後の学校教育ってあったって思うし、そういう人間を使うことで日本の経済成長もあったと思うけど、もう単純な経済成長なんか見込めないような今の時代に、そんな金銭教育のままでいいんだろうか。
問題なのは、金銭教育そのものが行われていないことだ。
簿記3級を必修科目にするだけでもかなり変わるのではないか。
わたしが小学校の頃の社会科の教科書には「戦後の日本は、教育レベルの高い、安価な労働者が多くいたために高度経済成長できた」と書いてあった。
安価な労働者とは、給料や待遇に文句を言わず、簡単に借金して、リストラされたら素直に会社を辞めてくれる従順な労働者のことだ。
競争に疲れたら逃げていい
競争社会から落ちこぼれたっていい。日本を出ちゃっても、ぜんぜん、かまわない。いまいるところがあまりにも苦しいのであれば、そこから逃げちゃえ!
「いくらがんばっても、どうにもならない」ってことを知ることは、とても大事なことだと思う。あまりにも疲れてしまっているのなら、ちゃんと休む。
心と体を休めて、ちゃんとものが考えられるようになってから「じゃあ、これからどうしたらいいんだろう」って自分とじっくり向きあえばいい。
自分の中の「だめなところ」を、そんなに恥じることはないんだよ。肝心なのは、だめになったら、そこからどう切り返すかなんだから。どうやったら、そこで「自分なりの次の一手」をうてるかなんだからさ。
逃げちゃいました(笑)。
わたしの場合、心と体を休めてじっくり考えてみたら「組織で働くのはちょっと無理かな」という結論だった。
向いていない、かつ、やりたくないことをよく10数年も続けられたものだ。
他人のカネばかりあてにするな
リストラや倒産、失業みたいなことがこれだけ一般化している今の時代に「人のカネをあてにして生きる」ことほどリスキーなことはないんだから。
これは高年収男をつかまえて専業主婦になろうと目論む女性を戒めて語ったことだが、「会社から支払われる給料をあてにする」のはリスキーだ、とも言える。
これからしばらくは好景気になるかもしれないが、いつかは終わる。
そのときは企業はリストラで乗り切ろうとするだろう。
去年の年収が1,000万円だからといって、未来永劫それが続く保証はどこにもない。
高給取りほどリスキー
あんまりストレスが大きい仕事は、いくらお金をたくさんもらえたからって、しまいには心と体を壊してしまう。家に帰って眠る暇もないような仕事をしていたら、家族だって心配だし、大変だよね。
これは身につまされる。
「心と体を壊す」というと「うつ病」「過労死」を思い浮かべがちだが、犯罪に走る人もいる。
幸い、わたしの周囲に過労死した人はいなかったが、うつ病で長期休職したり退職したりする人や、犯罪で人生や家族を失う人を見てきた。
仕事のストレスのせいで社員がうつ病になっても、仕事のストレスから犯罪に走っても、会社は責任を取らない。
「働く」とはやりたいことをやること
働きなさい。働いて、お金を稼ぎなさい。そうして強くなりなさい。それが大人になるっていうことなんだと思う。
ここでいう「働く」とは、雇用されて従業員や職員になることだけではないと思う。
それが証拠に「お金を稼ぎなさい」と言っている。
わたしは会社を退職して初めてわかったのだが「お金を稼ぐ」ことと「給料をもらう」ことは無関係ということだ。
給料で生活しているときは「お金を稼ぐ面白さ」を知ることはできなかった。これは人間として非常にもったいないことだ。
何が違うかは経験してみるしかない。もし働くのがイヤなら過去に働いて貯めたお金を取り崩して使う、というのでも全然構わないと思う。
まとめ
会社を辞めても何とかなる(離婚しても何とかなる)、という自信があれば前に進むことができる。