『そのお金のムダづかい、やめられます』(菅原 道仁(著), 文響社, 2016)を読んだ。
ひとはなぜ「お金のムダづかい」をやめられないのか。
本書では脳科学・心理学から原因を解明している。
「なぜ欲しいモノを買った瞬間の高揚感は長続きしないのか」
「なぜスーパーでは肉や魚は店の奥の方に置いてあるのか」
「なぜ”タダ”より高いモノはないのか」
などなど、消費者がムダづかいするように仕掛けられた「ワナ」を多数紹介していて、それらの対策を学ぶことができる。
ムダづかいを減らして本当に豊かな人生をめざすための本だ。
わたしが本書で一番共感した点は、
ひとが「貧乏」になるのは低収入や貯金減ではない、という点だ。
「貧乏リタイア」になる原因
「低収入」「貯金減」といえば「リタイア」が一番の要因だ。
早期にしろ定年にしろ、仕事からリタイアすると収入は減るし、貯金を取り崩す可能性が上がる。
なので、リタイアすると貧乏になると思われがちだが、リタイアが貧乏の原因ではない。
本書によると、貧乏の原因は「欲望の肥大化」だ。
2012年にハーバード大学のマイケル・ノートン教授が発表した論文によると、「人間は富を増やしても幸せになれるわけではない」という。
収入が増えても幸福度はそれほど増えないのだ。
逆に、お金が減っても幸福度が下がるわけではない。
私たちは「お金が減ると貧乏になる」のではなく「欲望が増えると貧乏になり、不幸になる」のです。
リタイア人生を「貧乏」と感じてしまう大きな原因は「現役時代の欲望をリタイア後もコントロールできていない」からだ。
欲望のコントロール法
では、欲望をうまくコントロールするにはどうすればいいのか?
それは「お金の使い方がうまくなること」だ。
収入や貯金が少なくても、限られた資金を「自分の人生に本当に必要なモノ・コト」に集中的に使っていくことができれば、それほどお金がなくても幸福度を高めることができる。
と、本書を読んで感じた。
精神論で無理な節約をするのではなく、科学的に無理なくムダづかいをやめたいなら、一読の価値がある。