秋元康・鈴木おさむ『天職 (朝日新書)』という対談形式の本を読む。いちばん共感できたのは
30歳を過ぎたらグリーンピースは食べない
鈴木 五〇歳は意識しますか?
秋元 していないよ。何も。おさむは年齢を意識する?
鈴木 していないです。
秋元 とにかく、おもしろく生きたい。毎日興味あることだけをやって、終わりたい。三〇だろうが、四〇だろうが、五〇だろうが。誰もが、やりたいことをやるだけの時間しかないと思うんだよ。だけどみんな、やりたくないことまでやろうとする。子供の頃には、好き嫌いはいけません、グリーンピース食べなさい、ピーマン食べなさい、玉ねぎ食べなさいっていうのはあると思うけど、もう三〇を過ぎたら好きにさせてくれと。一生グリーンピースを食べなくたって、別に大勢に影響はないじゃない。
鈴木 ははは、そうですね。グリーンピースぐらいなら、寿命も変わらないだろうし。
秋元 だから、年を取れば取るほど、もっと好き嫌いが激しくならなきゃいけない。それが美学なんだと思う。何でも好きですとか、何でも食べますっていうのはダメなんだよ。
本書p.226
ここで「グリーンピース」とは「嫌いな野菜」ではなく「やりたくないこと」だと読み取った。つまり、
30歳を過ぎたら、もっと好き嫌いにこだわって、やりたくないことから逃げ始める
とうことではないだろうか。わたしはちょっと10年以上遅れてしまったので、
40歳を過ぎてグリーンピースを食べないでも大丈夫だと気づいた。
毎日、鼻をつまんで大嫌いなグリーンピースを無理に口に押し込む生活は長続きしないし、何より「時間がもったいない」。
やりたくないことをやって稼いだカネは、ほとんどが「ストレス解消費」や「見栄張り費」として浪費されるだけだし、人生の後半になると「時間がもったいない」ことをするのは万死に値する。