「インフレが続くと預金が目減りする、だから投資せよ」という言葉を真に受けていいのか?
ダイヤモンド・オンラインの記事「あなたの預金が危ない!資産を減らさない「守り」の運用とは?」で
政府・日本銀行が推し進めるインフレ目標政策も、預金を目減りさせかねない。
目標として掲げられている2%のインフレ率達成は難しいとみる向きが多いが、たとえ1%のインフレでも、名目1000万円の預金が10年後には905万円と約1割も目減りする。2%なら30年後には実質価値が半減してしまうのだ。
と、預金だけでは資産が減ってしまうかのような印象を読者に与えようとしている。
確かに、インフレ率2%が30年間続けば、1000万円の現金の価値は半減する。
「現金の価値は半減する」というのは正しい。
「預金の価値は半減する」というのは正しくない。
なぜなら、預金には利息がつくからだ。
超低金利が永遠に続く?
三菱UFJ銀行のサイトで、定期預金の金利を調べてみると、定期預金(1年)の金利は年0.01%だ(2019.4.5時点)。
たしかに今はスズメの涙のような金利だ。
日銀が金融緩和しているので個人向け国債(10年・変動)の金利は最低の0.05%、預金金利も低金利なのは仕方がない。
しかし、30年という長いスパンで見れば今の超低金利がずっと続くかどうかわからない。
記事の例のように、2%のインフレが30年も続けば、金利も上昇するかもしれない。
元本の目減りばかり強調して、金利が上昇する可能性について目をつむるのはどこの証券営業マン?
1990年代の郵便貯金の通帳を見てみると、定額貯金の利息が3%台の時代もあった。
インフレになってもそれなりに預金金利が上がれば、無理に投資しなくても金融資産は守れる。
預金は比較的安全
おそらく、この記事は「投資信託を買え」という結論ありき系の記事だと思われるので、インフレだと預金が減ると不安を煽って投資信託を買わせたいのだろう。
しかし、投資信託が手数料商売である限り、投資家にとって預金より確実に不利な金融商品だ。
雑誌の記事には、リスクを取りたくない場合の例として「国内債券+J-REIT」の組み合わせが紹介されていた。
J-REITはリスク商品だ、どんだけ土地神話を信じてるんだ。
預金だけで人生の最期まで何とかなりそうなら、無理に投資信託を買う必要なんてない。
資産運用、投資という言葉は、どちらかと言えば「攻め」のイメージが強く、元本割れのリスクを考えると、「預金のままでいい」と考える人が多いのではないでしょうか。日本の個人金融資産1600兆円の5割超が現預金であることがそれを証明しています。
と記事にある。
個人金融資産のほとんどが預金なのは、「現在市販されている投資信託のほとんどがぼったくり商品だから魅力がない」からだ。
「攻め」のイメージと言うのは、資産を増やすというより、営業攻勢というイメージが強い(笑)。
投資すべきかどうかわからなければ、ノーポジションで預金しておくのが一番賢明だ。