ちきりん『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』(文藝春秋, 2013)を読んだ。
これからは高齢化が進んで医療技術も発達するので、100年以上生きるのが珍しくなくなる。
よって、「一生安心して暮らせる」貯金をためこむのは現実的ではない。
ストック(貯金)の多さよりもフロー(価値)を生み出す力が必要となる、という。
100歳まで生きてしまったらどうする
わたしも「100歳になってもピンピンしている」という想定でキャッシュフローのシミュレーションはしていない。
現行の年金制度も「人生100年社会」を維持するだけの年金を全国民に保証できないだろう。
100歳まで生きるかもしれない時代に、過去に貯めた資産を後生大事に握りしめ、資産が減らないか、これで十分か、と心配しながら生きる人生は、楽しいものではありません。そうではなく、組織を離れても稼げる力や、年齢を重ねても新しいものに挑戦できる好奇心や前向きな姿勢、見知らぬ人とも良好な人間関係を築ける人付き合いの能力などが、人生の豊かさを決めていくのです。
(中略)
過去に貯めたものだけでは持たないほど人生が長くなると、たくさんの資産を持つ人から生きる力のある人への、パワーシフトが起こるのです。
本書p.88
まとめると、次のようになる。
高齢化社会を生き抜く力とは
これからの高齢化社会を「生きる力」とは、
- 組織を離れても稼げる力
- 年齢を重ねても新しいものに挑戦できる好奇心や前向きな姿勢
- 見知らぬ人とも良好な人間関係を築ける人付き合いの能力
ないね~、こんな「生きる力」は。
ほとんどの人は、
- 組織を離れたら(退職したら)そんなに稼げない
- 年齢を重ねるほど現状維持したがる、何をするにも面倒になる
- 見知らぬ人と良好な人間関係を築けない
というのが実情ではないだろうか。
生きる力がなくても生きるには
貯金があってもどんどん寿命が伸びてしまったら、個人でできるのは「支出を最小化する」ことくらいしかない。
貯金の残高が気になったり、年金の支給額に一喜一憂したりする人生は楽しくない。
どうやって人生を楽しみながら「フロー」を生み出していく力を身につけるのか、色々考えさせられる本だった。
※2014年8月18日追記
高齢化が進んで100歳まで生きるのが当たり前になると、ほとんどの人が貯金と年金だけで生きていくのが困難になる。お金を使わないで生活を維持していく仕組みができていくのではないか。