この記事を書いているのは2014年8月下旬だ。
8月下旬……子供の頃は「精神的に」夏休みが終わり、気分が落ち着かなくなっていた。
高校野球が終わり、24時間テレビが放送される頃は「休んでいる」という気分ではなくなっていた。
宿題は読書感想文、自由研究のような重い宿題が残り、ますます気分が落ち込んでいた。
今は宿題の解答をネットで検索できるし、宿題代行業のような「外注」も使えるのでいい時代だなと思う。
『走れメロス』を読む
読書感想文で思い浮かんだのが、太宰治『走れメロス』。
たまたま本棚に太宰治の文庫本があったので見てみたら、『走れメロス』は文庫本で16ページの短編小説だ。
夏休みの宿題にするには短いかな。
実は今まで読んだことがなかったので読んでみた。
内容をざっくり言うと、
- メロスは怒りっぽい
- メロスは暴虐な王に対して怒っている
- メロスは16歳の妹と二人暮らし
- メロスの妹は結婚が決まっている
- メロスにはセリヌンティウスという友人がいる
- メロスは、王を暗殺するために城に乗り込んだが捕まり、処刑されることになる
- 処刑される前に妹の結婚式に出たいから3日間の猶予をくれ、と王に願う
- 猶予が欲しければ身代わり(人質)を差し出せと言われ、友人のセリヌンティウスを差し出す
- 結婚式の日程を前倒しするよう花婿に頼んで、結婚式を挙行
- 3日間の猶予という約束を守り、友のセリヌンティウスを救うべく、城に向かう
- さまざまな困難がメロスを襲い、約束の期限に間に合いそうになくなる
友人を人質に差し出して妹の結婚式に向かう時、王から
「助かりたければ3日以内に返ってこなければいい」
と言われる。
メロスの決断は
この話のポイントはメロスが次のどちらを選ぶかだ。
①自分が助かるために約束を破り、友人を犠牲にする
②万難を排して約束を守り、自分の命を差し出す
人は自分が一番かわいい、だから①を選ぶ、と王は考えている。
①を選べばメロスは助かるが、それでは王の勝ちだ。
②を選べば、約束は守れるが、処刑されてしまう。
王は私に、ちょっとおくれて来い、と耳打ちした。おくれたら、身代りを殺して、私を助けてくれると約束した。私は王の卑劣を憎んだ。けれども、今になってみると、私は王の言うままになっている。私は、おくれて行くだろう。王は、ひとり合点して私を笑い、そうして事も無く私を放免するだろう。そうなったら、私は、死ぬよりつらい。私は、永遠に裏切者だ。地上で最も、不名誉の人種だ。
小説は青空文庫やKindleで無料で読めるので、結末はぜひ読んで確認してほしい。
※そもそも、メロスが王の暗殺など企てなければ、友人が人質になったり、妹の結婚式を前倒しにしたりすることはなかった?