消費税増税を含め、財務省が増税したがる理由。
佐藤優『サバイバル宗教論』 (文春新書)を読んでいたらその答えが書いてあった。
社会保障と消費税は無関係
今、税と社会保障の一体改革をやっています。元官僚だからわかるのですが、この問題の本質は社会保障にはあまり関係がありません。ただ増税がしたいのです。なぜかというと、官僚、特に財務官僚の国民に対する一種のあきらめ感があるからです。日本の国民は難しいことはお上に任せて、気に食わないことは文句ばっかり言うと思っているからです。「任せて文句を言う」のが日本国民だ。
(中略)
もう一つ、中国との関係が緊張していることがあります。尖閣で武力衝突でも起きれば、国防予算も増やさなければならない。そうすると、取れるうちに取っておけるところから取るというのが官僚の発想です。だから増税になるわけです。
p.222
日本国民は、年金・医療・介護など面倒くさいことはすべてお上に丸投げしてモンスター納税者になっているから外注費がどんどんかさんでいく、ということか。
大して税金を払っていないくせに政府に文句ばっかり言う……民主主義ってこういうのものなのだから仕方ない。文句を言われるのが嫌なら、日本の役所を辞めて言論の自由がない独裁国家の役人に転職するしかない。
源泉徴収制度は戦費調達のため
「中国との武力衝突懸念で増税」というのは面白い。
そもそも、日本で給与の源泉徴収や法人税が始まった原因が、1937年に北京(当時の北平)の盧溝橋で日中両軍が衝突した「支那事変」だからだ。その後、第2次世界大戦とリンクしてしまって泥沼の戦争が続く。
戦争には莫大なカネがかかる。
「中国と武力衝突しているから軍事費がかかる。効率的に税金を徴収する方法はないかな、、、お、ナチス・ドイツがやっている”源泉徴収制度”、あれを日本でもやろう」
「税を徴収すると言っても中国との戦いが片付くまでの”特例措置”。戦争が終わったら源泉徴収をやめます」、といいながら21世紀の今も源泉徴収制度が残っている。
実際の戦争は70年近く前に終わったが、税の世界はいまだに「戦時中」だ。