研究者の自由度が高いほうが偉大な発明・発見が生まれやすいのだろうか?それとも、縛りがあったほうがいいのか?
2014年ノーベル物理学賞に日本人研究者3人が決定した。すばらしい。おめでとうございます。
今年のノーベル物理学賞の受賞者に、青い光を放つLED・発光ダイオードの開発に成功し、フルカラーの大型画面の実現など様々な応用への道を開いた、名城大学教授の赤崎勇さんと、名古屋大学大学院教授の天野浩さん、カリフォルニア大学教授の中村修二さんの日本人研究者3人が選ばれました。
出典ノーベル物理学賞に日本人3人(2014.10.7 NHK)
受賞者の中村修二・カリフォルニア大学教授は、
「日本には自由がない」と研究環境を改善する必要を訴えた。
出典<ノーベル賞>中村氏「日本に自由ない」、研究環境の改善を (2014.10.8 毎日新聞)
とコメントしていた。
自由があれば研究者は幸せか
このコメントを見て、物理学者・随筆家の寺田寅彦の本『柿の種』 (岩波文庫)を思い出した。
本書で、「研究者が発明・発見を生むには”自由な環境”が必要なのか」について述べている。
第1次世界大戦に敗北したドイツは、ベルサイユ条約で「発動機(エンジン)を搭載する飛行機」を作ることを禁止された。
戦勝国の狙いは「ドイツ空軍の禁止」である(日本が現在も日本空軍を禁止されているのに似ている)。
すると、ドイツ人は発動機なしで、風と上昇気流で飛行する「グライダー」の研究を始めた。
つまり、「航空機製作の禁止」という「縛り」が「グライダー」を生み出したといえる。
あと、「トラクタの開発」と称して戦車の開発をはじめたり……。
いじめられると発明発見が生まれる
寺田先生は本書で
詩人をいじめると詩が生まれるように、科学者をいじめると、いろいろな発明や発見が生まれるのである。
p.56
と書いている(強調は引用者による)。
潤沢な自由(予算)があった方が偉大な発明・発見が生まれやすいのだろうか?
それとも、ある程度「縛り」があった方がいいのか?
と、ノーベル賞報道と本書からふと考えた。
もちろん、嫉妬や同調圧力で成功者の足を引っ張るのはよくないが。