水月昭道『ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院』 (光文社新書, 2010) を読んだ。
大学院で博士号を取得しても正社員、正職員として就職できない。
大学に残れても、非常勤講師や非正規職員のような低所得で地位が不安定な仕事で食いつないでいるのが現状のようだ。
日本は学歴社会というが、実は「低学歴社会」だ。
大学学部卒や高卒といった「低学歴者」のほうが大学院卒よりも就職しやすい。
大企業や役所では、人材は学部卒・高卒が主流だ。
昔からあるオーバードクター問題
博士号をとっても就職できない……これは昔からある問題だ。
わたしが高校生の頃(20年以上前)も「オーバードクター」と言って、博士号をとっても就職できない人がたくさんいることを教師から聞かされていた。
「理系の博士号を持っていても高齢すぎて企業が敬遠する」
「大学の講師になっても薄給に甘んじている」
という実態を高校の時に聞かされて、
「大学は4年で卒業してふつうに就職しよう。絶対に大学院には行かない。」
と決意した。
「学部卒という”低学歴”でも実が取れたらいい」と割り切った。
著者はわたしと年齢が近いようだが、高校や大学の時に「博士は悲惨」という情報はとれなかったのだろうか?
最近は大学院がいっぱいできて、デフレ不況もあって「オーバードクター問題」がどんどんひどくなっているようだ。