「老後資金、1億7千万でも貧困転落の恐れ」を恐れない

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計算

老後資金、1億7千万でも貧困転落の恐れ…40代で住宅ローン借入れは危険 (2016.3.18 Business Journal)という記事を読んだ。

タイトルだけ見ると「不安を煽っている」ような記事に思える。

60~65歳までに1億7千万円以上貯金しておかないと下流老人に転落する!」と早合点してしまう。

でも、よくよく読んでみると、老後不安を煽る記事ではなく老後資金の試算(見積り)に過ぎないことがわかる。

しかも、かなり余裕を見た見積もりだ。

これだけあれば老後は何の心配もない」というレベルになるための金額だ。

中身を具体的に見てみる。

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なぜ老後資金が1億1720万円なのか?

まず、タイトルの「1億7千万」というのは盛った数字だ。

記事の試算では「1億1720万円」だ。

これだけあれば「夫婦2人が老人ホームに入居できて、子供の世話にならずに暮らせる」という金額だ。

1億1720万円の明細は記事によるとこうなっている。

  • 夫88歳、妻95歳までの生活費
  • 10年分の医療費と介護費
  • 老人ホーム入居時の一時金(3000万円)

1億1720万円は、かなり余裕を持って算出した額です。男性が88歳、女性が95歳まで生き、また平均的な健康寿命と余命から男女ともに10年前後分の介護費や医療費を想定しています。さらに、有料老人ホームに入居する場合、一時金として3000万円ほどかかるケースも考えられます。

これはあくまでも試算のための一例にすぎないから、前提条件を変えることでいくらでも老後資金を安く抑えることができる

例えば、「一人暮らしで介護期間が5年で老人ホームに入らない」とか。

どうやって1億1720万円を作る?

一方、老後資金「1億1720万円」の収入面の明細は次のようになっている。

  • 退職金(大企業平均):2000万~2500万円
  • 年金:4800万~6000万円

合計すると、6800万~8500万円だ。

これだと1億1720万円に足りていないから、不足分3220万~4920万円は自分で貯金して作るすることになる。

仮に、大企業の正社員で新卒で入社して定年まで勤務しても、退職金とは別に約3000万~5000万円の貯金が必要、という試算になる。

記事タイトルに「40代で住宅ローン借入れは危険」とあるのは、「40歳を過ぎて家を買ってしまうとローンの返済に追われて貯金ができなくなる」という意味だ。

早期退職したり退職金がない会社だと、自分で貯金すべき金額はさらに大きくなる。

だからといって絶望する必要はない。

老後の費用の見積もり次第で、収入はもっと少なくてもいい。自力で何千万円も貯金を作る必要はない

なぜ「老後資金ネタ」で感情的になるのか?

要は、老後はどのように生きていきたいのかをイメージして、自分なりの試算シミュレーションをすればいいだけの話なのだ。

もし、「豊かな老後を過ごすには1億1720万円必要」と聞いて「感情的」になったとしたら、それは「老後を他人任せにしている」からだ。

老後資金を会社や国に依存したり、必要金額の計算を他人任せにしてしまうから、いたずらに老後を恐れるのだ

自分の人生に必要な金額は冷静に自分で計算して安心すればいい。

<参考記事>
「老後資金1億7千万でも貧困転落の恐れ」を読んだ (自由になりたくて47歳で会社を辞めたらこうなった)
ひろゆき「今の人はいくら溜めたら将来安泰なんだろう?」 (BLOGOS)
「老後の生活に1億円かかる!」は本当か? (THE PAGE)
佐藤治彦『普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』 (当ブログ)

<参考文献>

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