エッカーマン『ゲーテとの対話 上』 (岩波文庫 1968) を読んでいる。
本書は全3巻ある。
ゲーテによると、精神的自由がありすぎても「苦痛」になることがあるという。
適度な自由ががればいい
自由はありすぎても持て余す。
分相応な自由さえあればいいという。
自由とは不思議なものだ。足るを知り、分に安んじることさえ知っていれば、誰だってたやすく十分な自由を手に入れられるのだ。いくら自由がありあまるほどあったところで、使えなければ何の役に立つだろう!
p.331
ゲーテの邸宅は広く部屋がたくさんあったが、実際に使う部屋は限られていた。
この広い家を持っていたところで、それを利用する必要がないなら、何の役に立つだろう!
p.331
自由はどれくらいあれば幸福か
どれくらいの自由があれば人は幸福に暮らせるのだろうか。
誰でも健康に暮せて、自分の職にいそしむだけの自由があれば、それで十分なのだ。それだけの自由なら誰だって手に入れるのはたやすいことだよ。それから、われわれは、自分たちが充たされなければならない一定の制約条件のもとでだけ自由だということだ。
pp.331-332
「一定の制約条件」とは「市民としての義務を果たせ」という意味ではなく、「分相応に生きろ」ということだ。
つまり、「あまり上を目指し過ぎるな」ということだ。
上ばかり見ると「比較→嫉妬→革命(グレート・リセット)」の罠にハマる。
「現状に満足するな!稼げ!稼げ!」と煽られて、心身の健康が維持できなくなる。
「自分が不自由なのは他人のせい」と思い込むようになってしまう。
われわれは自分の上にあるものすべて認めようとしないことで自由になれるのではなく、われわれは自分の上にあるものに敬意を払うことでこそ、自由になるのだ。
p.332