日本でセミリタイア生活を送る上で最大のリスクは「大震災」だ。
関西方面だと将来確実に起こるとされている「南海トラフ地震」だ。
参照南海トラフ地震発生で想定される震度や津波の高さ(気象庁)
今回は「南海トラフ地震」の発生確率を計算してみた。
結論は、1年以内に南海トラフ地震が発生する確率は5.2%となる。
「地震の発生確率」については、以前に某有名経済学者がtwitterで計算間違いを指摘されて話題になった。
ここでは正しく計算していきたい。
南海トラフ地震の発生確率を計算する際に、次の記事を参考にした。
参照南海トラフ地震:30年以内発生確率「70~80%」に(2017.12.28 毎日新聞)
1年以内に地震が起こる確率
記事を元に「1年以内に南海トラフ地震が発生する確率」を計算してみる。
計算には地震の発生確率を最悪の「30年以内に80%」とする。
「1年以内に地震が発生する確率」をpとすると、
「1年以内に地震が発生しない確率」は(1 – p)となる。
「30年以内に地震が発生しない確率」は(1 – p)を30回かければいい(つまり30乗すればいい)から、
$$(1-p)^{30} = 1 – 0.8 = 0.2$$
$$1-p = 0.2^{\frac {1}{30}}$$
$$p = 1 – 0.2^{\frac {1}{30}} = 0.0522342727$$
よって、1年以内に南海トラフ地震が発生する確率は5.2%となる。
逆に1年以内に南海トラフ地震が発生しない確率は94.8%だ(100% – 5.2% = 94.8%)。
南海トラフ地震が1年以内に発生する確率5.2%はあくまでも2018年1月時点での確率で、時間の経過とともに上昇していく。
「眠れなくなるほど心配」する必要はないと思うが、油断はできない。
有名経済学者の誤り
地震の発生確率の計算については数学のプロであるはずの経済学者も誤った。
今回の計算で参考にした本『ちょっとわかればこんなに役に立つ 統計・確率のほんとうの使い道』pp. 78 – 79によると、某有名経済学者が地震の発生確率について次のようなツイートをしたとのこと。
30年で大地震の確率は87%・・浜岡停止の最大の理由だ。確率計算のプロセスは不明だが、あえて単純計算すると、この1年で起こる確率は2.9%、この一カ月の確率は0.2%だ。原発停止の様々な社会経済的コストを試算するために1カ月かけても、その間に地震が起こる確率は極めて低いはずだ。
出典https://twitter.com/HeizoTakenaka/status/67726323170283520
「地震の発生確率が30年で87%だから、1年で2.9%と単純計算した」とtwitterで述べている。
87%を30年で割って「87 ÷ 30 = 2.9」だから、「1年あたり2.9%」と計算したのだろう。
これは誤り。
もし正しければ、35年で地震の発生確率が100%を超えてしまうからだ(2.9 × 35 = 101.5)。
正しく計算するとこうなる。
$$(1-p)^{30} = 1 – 0.87 = 0.13$$
$$1-p = 0.13^{\frac {1}{30}}$$
$$p = 1 – 0.13^{\frac {1}{30}} = 0.0657464034$$
よって、1年以内に地震が起こる確率は2.9%ではなく6.6%となる。