『本の読み方 スロー・リーディングの実践』(平野 啓一郎(著), PHP新書, 2006)を読んだ。
セミリタイア中で読書するなら「スローリーディング」に限る、と思わせてくれる本だ。
なぜか?
それは「スローリーディングが速読より経済的で、かつ、本の理解が深まる」からだ。
本書を読んだ後、わたしの読書は「スローリーディング」が基本となった。
スローリーディングとは
スローリーディングとは何か。
文字通り「ゆっくりと読書する」ことだ。
本の中の文をひとつずつスルメをかみしめるように読んでいく。
疑問がわいたら、読み進めるのではなく、止まる。
そして考える。
作者は何を言いたいのだろうか?
この単語を選んだのはなぜか?
などなど。
当然、読むスピードは遅くなる。
が、1冊の本を時間をかけてじっくりと味わい尽くすことができて、理解が深まる。
一冊の本をじっくりと時間をかけて読めば、実は、 一〇冊分、二〇冊分の本を読んだのと同じ手応えが得られる。これは、比喩でも何でもない。
しかも、何冊も短時間で読むより経済的だ。
アンチ速読
本書では速読には批判的だ。
特に「読了する本の数」を目標にすると焦りから読書が貧しくなるという。
ノルマを決めて、一日に三冊読もうと決めたとする。そのためには、とても考える時間など悠長にとってはいられない。「読まなければいけない」という焦りは、読書を貧しくするだけである。
スローリーディングだと、「積ん読」が増えても焦らずにゆっくりと読める。
スローリーディングの実践
効果的なスローリーディングの方法については、本書で丁寧に説明されているので参照してほしいが、ひとつだけ紹介する。
「読書の感想をブログに書く」というのもスローリーディングの一つだ。
他人に説明することを前提に読書すれば、理解しながら読まざるを得なくなるから。
読書好きのセミリタイア生活者は必読の一冊だ。