今(2021年3月上旬)は確定申告の季節なので、税関計の本を読んでみた。
『元国税調査官が明かす 金を取る技術』(大村 大次郎(著), 光文社新書, 2015)を読んだ。
本書を読んで実感したのは、「日本は貧乏人ほど税率が高い」だ。
税務の世界では、
「金持ちから1円取るより、貧乏人から1万円取る方が簡単」
と言われているそうだ。
つまり、税金は金持ちから多く取るのではなく、取りやすいところ(貧乏人)から広く薄く取る。
金持ちは税に詳しく増税に敏感
「金持ち」は日頃から税金についてよく勉強している。
1円でも多く手元にお金を残したいからだ。
「お金持ち」とは文字どおり「お金を持っている人」で、「1円でも多くムダな出費を抑えて1円でも多く貯蓄を増やしたい人」だ。
お金をいっぱい持っているが出したがらない。
なので、増税しようとすると抵抗が激しい、つまりうるさい。
貧乏人は税に無関心
逆に、貧乏人は税金に無関心だ。
収入を給与でもらって納税は源泉徴収だから「税」について勉強する必要もチャンスもないからだ。
増税にも抵抗しない。
事実、安倍政権時代の2回の消費税増税でも「安保法制反対デモ」のような大きな抵抗はなかった。
貧乏人は税金のことはあまり知らないので、「今は、国家財政が大変だし、高齢化社会に備えて増税が必要」などといわれれば、すぐにそれを鵜呑みにしてしまうのです。
「国の借金が1,000兆円を超えて財政破綻の危機!年金が減らされる!」と不安を煽られると信じてしまうのだろう。
「少子高齢化なので増税は仕方ないんです」とメディアで諭されると「仕方ないか……」とあきらめる。
参照5年半ぶり消費増税 支え合う社会の将来像描け(2019.10.1 朝日新聞デジタル「社説」)
消費税の増税分を社会保障ではなく大企業・富裕層(高額所得者)の減税の穴埋めに使っても大きな抵抗は起きなかった。
消費税の導入で、新たに10兆円の財源となりました。しかし、ほぼ同時期に行われた大企業や高額所得者の減税で、その10兆円分は消し飛んでしまったのです。
貧乏人の定義
本書を読んで「金持ち = 高額所得者」「貧乏人 = 低所得者」ではない、と感じた。
「金持ち = 金融リテラシーの高い人」「貧乏人 = 金融リテラシーの低い人」だ。
参照金融リテラシー・マップ ~「最低限身に付けるべき金融リテラシー(お金の知恵・判断力)」の項目別・年齢層別スタンダード(金融広報中央委員会「知るぽると」)
ムダに出費を増やさないよう、税金について勉強して金融リテラシーを高めたいものだ。