FIREの火が消える?
岸田政権誕生で金融所得の増税が議論されるらしい。
参照金融所得の税率上げ議論へ 政府、一律引き上げや累進案(2021.10.7 日本経済新聞)
「株式投資で儲けても税金で取られる」となると、投資家が日本株から逃げたり、やる気を失って投資そのものをやめてしまったりするので株価が下がる。
株価が下がると株で儲からなくなるから利益が減る。
「金融所得課税」は利益に課税するので、増税してもたいして税収は期待できないだろう。
「増税」を公約に衆議院選挙に突入して、勝てるんだろうか?
金融所得増税でFIREのハードルが上がる
金融所得の税率が上がると、日本でFIRE(経済的自立&早期リタイア)を達成するのが難しくなる。
配当金や売買益といった金融所得の税率が現在の20%から30%に上がったとする(復興増税分は無視する)。
例として、資産7,500万円を持ち利回りが年4%でFIRE生活を送っている人がいるとする。
年間の金融所得は税込で300万円、税金は20%で60万円だから手取りは年240万円(月平均20万円)だ。
税率が20%から30%に増税となると、「手取り240万円」を維持するには次の2つの方法がある。
- 元本を増やす
- 利回りを上げる
どっちも、FIREの難易度を上げる。
不愉快な二者択一
金融所得増税でも年4%の利回りをキープするなら、元本を増やさなければならない。
税率30%で手取り240万円を維持するには、必要な税引前利益は343万円だ(240万円÷(1 – 30 %)で1万円未満四捨五入)。
FIRE生活に必要な年収ノルマは、増税前の300万円から43万円も上がる!
利回りが年4%で収益が343万円だから、必要な元本は、
343 万円 ÷ 4 % = 8,575 万円
となり、7,500万円から1,500万円以上元本を増やす必要がある。
もう一つの選択肢、元本7,500万円は維持して利回りを上げる方法を考える。
必要な税引前利益は343万円で元本が7,500万円の場合、必要な年利回りは、
343 万円 ÷ 7,500 万円 = 4.573… %
となり、増税前の4%から0.58ポイントほど利回りを上げる必要がある。
「元本を増やす」「利回りを上げる」どっちもいやなら……。
バイトするしかない?
まとめ
金融所得増税は「株式投資でFIREなんか考えないで、死ぬまでコツコツ働け」という新政権のメッセージ?
【2021年10月10日追記】
本記事投稿後、「金融所得増税は当面なし」という報道があった。
参照金融所得課税、当面見直さず 「すぐやる」は誤解―岸田首相(2021.10.10 時事ドットコム)