久しぶりに推理小説を読んだ。
池井戸潤『金融探偵』 (徳間文庫)
勤めていた銀行が倒産して失業中の主人公・大原次郎がゆる~く探偵稼業をしていく話。
本の帯は「銀行を解雇された男が求めた活路とは。ピンチをチャンスに転化させる、池井戸作品の爽快感」。
ハロワに通って再就職を目指す片手間に、銀行業務で身につけた知識・経験をもとに金融がらみの探偵をするという設定、なんとも現代日本的な話だ。
彼の手持ちの貯金は500万円。年齢は31歳。生活費は月30万円なので1年半ほどで貯金が底をつく計算だ。
第1話「銀行はやめたけど」で最初の事件を解決して報酬10万円を受け取った大原は「金融探偵でやっていけるのでは」と考える。
相棒は住んでいるアパートの大家の娘。彼女が「就職できないんだったら探偵でもやれば?」とけしかける。
組織に属するだけが仕事ではない。サラリーマンになることだけを考えて袋小路に入り込んでいた自分の考えに風穴を空けられた、そんな気がした。
「銀行はやめたけど」(『金融探偵』所収)
第6話「人事を尽くして」では、中小企業の偽装倒産の手伝いで1,000万円の報酬を提示されるが、果たして1,000万円はゲットできるのか?
これから専業の「金融探偵」としてやっていくのか、貯金は持つのか、再就職はしないのか、、、続編が気になる小説だった。