去年の今頃は何をやっていたかと過去の日記を見返すと、『経済は世界史から学べ!』(茂木誠著 ダイヤモンド社 2013)という本を読んでいた。
幕末も今も「為替(FX)は怖い」という話。
開国したらハゲタカ商人が日本に殺到
幕末、日本と海外とで金と銀の交換レートに差があった。
日本……金が安く銀が高い
海外……金が高く銀が安い
このため、次のような取引ができた。
「日本国内で4ドル銀貨を小判3枚と交換して、海外で小判3枚を12ドル銀貨に交換する」
こうやって4ドルをノーリスクで12ドルに増やすことができた。
当然、利にさとい者に察知され、外国商人が日本の安い金(ゴールド)を買うために殺到した。
日本で金を安く仕入れて海外で高く売れる”裁定取引”ができるので当然だ。
後手に回る幕府
慌てた幕府は質の低い小判(万延小判)を発行して金の流出を防ごうとするが、インフレがひどくなる。
低品質の通貨のせいで貨幣価値が下がって、物価が上がった。
物価高によって社会不安が増大して、討幕運動につながっていく。
鎖国時代であれば日本と海外のレートが異なっていても問題なかった。
が、ペリー来航以後に開国したために、金銀のレート差で儲けようとする外国商人が殺到して金が海外に流出して、日本経済が大混乱した。
現代ではFXで失敗して破産する人がいるように、幕府も為替で失敗して、結果的に倒れた。
為替は怖い。
本書では「政府紙幣を発行したアメリカ大統領はなぜか暗殺される」エピソードなど、世界史の大事件は「カネ」が原因で起こる実例が満載だ。