農協改革の一環としてJA全中の地域農協への指導・監査権を廃止するというニュースがあった。
参照<農協改革>目指すは「強い農業」の実現 (2015.2.9 毎日新聞)
JA全中の権限を取り上げるとなぜ農協改革になるのか。
よくわからないので、立花隆『農協』(朝日新聞社, 1984)を読んだ。
JA全中は農協グループの頂点に君臨して、絶大な権力と資金力をバックに農協を牛耳っている、というわけではなさそうだ。
全中は貧乏
農協に対する統制力はそれほどないようで、お金もあまり持っていないらしい。
全中は貧乏なのである。他の全国連と違って、カネが儲かることは何もやっていない。全中の果たしている機能には、指導、監査、教育、調査研究、情報提供、紛争調停などがあるが、いずれももっぱらカネを使うことばかりである。
p.355
※強調は引用者による。
全中のオフィスにある役員室も「中小企業の社長室」のようで、豊かな農協の組合長室の方が豪華らしい。
どうやって全中が食べているのかといえば、全国連(全農・全共連(全国共済農業協同組合連合会)などの農協の上位組織)が負担する賦課金だ。
改革の中身が「全中から監査権が取り上げられる」だから「監査で儲けている」というイメージがあったが、実態は農協への監査で儲けているわけではなさそう。
全中の主要業務
全中の業務は、農協の指導・監査だけではない。
農林水産省・国会議員に対してロビー活動を行なって、農業関連の国家予算を獲得することだ(こちらのほうが大事なように思える)。
農協からの要望を吸い上げて、全中の幹部が農林水産省の官僚・国会議員に働きかけ、国から予算をつけてもらう。
今回の「農協改革」の意図はまだわからない。
メディアの報道を見ても中身がよくわからない。
「蓋を開けてびっくり」とならないように勉強していきたい。