森博嗣『孤独の価値』(幻冬舎 2014) を読んだ。
「孤独はさびしい」
「孤独=仲間はずれ、村八分」
「孤独死は怖い」
「引きこもりは犯罪者予備軍」
「友だち100人できるかな♪」
といった、孤独をネガティブなイメージでとらえる風潮を静かに批判する書。
「孤独はダメ」というのはメディア(小説、TV、映画、マンガ等)に植えつけられた観念にすぎないという。
こうして植えつけられた観念からすると、孤独は、排除しなければならない異質なものになる。あってはならないものだから、孤独を感じるだけで、自分を否定することにつながる。その観念がどこから来たのかと考えもしない。そこに危険がある。
p.62
世間では「孤独は良くない」ということになっている。価値がない、避けるべきだというのが常識だ。
毎日のように「人脈を作らないとビジネスで成功しない」「結婚しないと寂しい老後になる」とか洗脳され続けているから、「孤独=死」と思い込むのも無理ははない。
しかし、それでも孤独には大きな価値がある。
「”孤独”は独創的な価値が産まれるための必須条件」
なのだ。
ちょっと下世話的に書けば、
「孤独はカネになる」
ということになる。
例えば、「会社を辞めたけど、ひとりで何をしていいのかわからない」
と感じたことが価値(カネ)を産む。
「セミリタイアブログ」とか。
せっかく早期退職しても「孤独を恐れ、孤独から逃れることに血道を上げる」なんて、カネと時間がもったいない。