経済的独立したければ福沢諭吉の「資産運用のすすめ」

福沢諭吉

福沢諭吉『現代語訳 学問のすすめ』 (伊藤正男(訳) 岩波現代文庫 2013)を読んだ。

個人投資家として、一番心に響いたのが「独立=経済的独立」という主張だ。

なぜ福沢諭吉が1万円札に採用されたか、本書を読んで理由がわかった。

「経済的独立」を目指したい人は、一読の価値がある。

「経済的独立」というのは「使い切れないほどの貯金をためこむ」ことではない。

文字通り「独立」することだ。

諭吉先生によると、「独立」というのは2種類ある。

  • 物質的独立
  • 精神的独立
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物質的独立

物質的独立(本書で言う「品物に関する独立」)というのは「家計が独立している」ということだ。自分で稼いで、他人から援助なしに生計を営むことができることだ。

人々がめいめい一家を営み、家業に精出して、他人の厄介にならぬよう、一身一家の処置をすることである。一口にいえば、人に物をもらわぬということだ。

p.210

精神的独立

精神的独立というのは、物質的独立の基礎となるものだ。

精神的独立とは「モノに支配されない」ことだ。

たとえば、この着物には釣り合わぬからとて、余計な羽織を作り、この衣裳に不似合いだとて、新しい煙草入れを買い求める。すっかり衣服が整えば、次は住宅の狭いのが不自由となり、住宅の新築が出来あがれば、新築祝いの宴会も開かねばならぬ。口が奢って、鰻飯を食うようになれば、さらに西洋料理が食いたくなる。

p.211

欲望が無限にふくらんでコントロールができなくなると、精神的独立ができていないことになり、物質的独立もできなくなる。

「高給取り」のリスク

なぜ、欲望が無限に膨らんでいくのか?

ちょっとがんばれば買える」からだ。

これが怖い。

収入が増えて「高給取り」になると「がんばって」欲望を満たそうとする。

高給取りの間はいいけど、もしリストラされて収入を失ったらどうすんの?!

がんばって働いて高給取りになって財産を作っても、欲望をコントロールできないなら奴隷と一緒だよ

と、諭吉先生は警告する。

資産運用のすすめ

そこで、諭吉先生がすすめるのが「資産運用」だ。

あえて金銭万能のけちん坊のやり口をほめるわけではないが、くれぐれも金銭を運用する方法をよく研究してもらいたい。金銭を支配して、金銭に支配されず、精神の独立を害されぬことを切望するゆえんである。

pp.213-214

金銭を支配して、金銭に支配されず」……いい言葉だ。

1万円札の諭吉先生が「お金に振り回されたらアカンで。ちゃんと欲望をコントロールせななんぼ稼いでも一生奴隷やで」と語りかけているようだ。

真の独立とは、経済的独立ということですね、諭吉先生。

目次

訳者はしがき
凡例

初編(明治五年二月)
天与の人権/学問の必要/和漢学の迂遠/…/政府は国民知愚の反映/国民の責任
二編(明治六年十一月)
前書/人は同等なること
三編(明治六年十二月)
国は同等なること/一身独立して一国独立すること
四編(明治七年一月)
学者の職分を論ず/附録(質問への回答)
五編(明治七年一月)
明治七年一月一日の詞
六編(明治七年二月)
国法の貴きを論ず
七編(明治七年三月)
国民の職分を論ず
八編(明治七年四月)
わが心をもつて他人の身を制すべからず
九編(明治七年五月)
学問の旨を二様に記して,中津の旧友に贈る文
十編(明治七年六月)
全篇の続き,中津の旧友に贈る
十一編(明治七年七月)
名分をもつて偽君子を生ずるの論
十二編(明治七年十二月)
演説の法を勧むるの説/人の品行は高尚ならざるべからざるの論
十三編(明治七年十二月)
怨望の人間に害あるを論ず
十四編(明治八年三月)
心事の棚卸し/世話の字の義
十五編(明治九年七月)
事物を疑つて取捨を断ずること
十六編(明治九年八月)
手近く独立を守ること/心事と働きと相当すべきの論
十七編(明治九年十一月)
人望論

解説(伊藤正雄)
一 『学問のすすめ』の成り立ち
二 『学問のすすめ』各編の内容
三 『学問のすすめ』の性格と,流行の変遷
四 福沢の小伝

参照:岩波現代文庫『現代語訳 学問のすすめ』(岩波書店)

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