「読み物」として決算書を読めば「人生の損失」を避けられる

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B/S

前川修満『決算書はここだけ読め!』 (講談社現代新書 2010)を読んだ。

株式投資をしている個人投資家でも、決算書をちゃんと読んでいる人は少ないのではないだろうか。

理由は「簿記や会計の知識がないと理解できない」、つまり「難解だから」という思い込みがあるからだと思われる。

なぜ「難解」というイメージがあるかといえば、

決算書を読むためには決算書を作るための知識が必要

だと思っているから。

ビジネスマンのなかには、決算書を活用するには、経理マンと同じか、あるいはそれに準じた専門知識が不可欠だと考えている人が多いのには、驚かされます。

これは、じつにもったいないことです。

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決算書を楽しんで読む

本書を読めば、決算書を読むだけなら、専門知識は不要だ、ということがわかる。

決算書に対する苦手意識がなくなるだけでなく、決算書は読み物として面白いことがわかる。

もし、決算書を面白く読めるようになれば、次のようなメリットがある。

  • 株式投資しようとするとき、銘柄の経営状況がわかるので無用な損失が避けられる。
  • 勤務先の決算書を読むことで「ここはヤバい」と察知できれば早目に脱出できる。「テレビのニュースではじめて勤務先の倒産を知った」ということが避けられるかも。
  • 就活時に決算書を読んで「危ない会社」に就職してしまうことを避けられる。

決算書を早く、かつ面白く読む具体的な方法は本書で参照してほしい。

ただし、決算書はあくまでも「過去の実績」なので、会社の未来を100%正確に予想できるわけではない。

過去の「成績」を確認するための参考資料だ。

「つまみ読み」でOK

決算書を読むためのポイントは、ふつうの本を読むときの「つまみ読み」に似ている。

つまり「重要かつ必要な箇所だけを読む」。

不要な箇所は読み飛ばす。

例えば、トヨタ自動車(7203)のサイトにある「2015年12月第3四半期 四半期報告書」に掲載されている貸借対照表の一部を読んでみる。

トヨタ自動車 貸借対照表

……勘定科目と数字がずらっと並んでいるから、一見、専門知識がないと読めないような気がする。

「定期預金だけで6,805億円もあるけど何で?」

「受取手形及び売掛金」って何?

「繰延税金資産」って何?

という疑問を持つ必要はないし、用語の意味を知らなくてもいい。

決算書を読むときのポイントだけを押さえておけば、ちゃんと読めるようになるから面白い。

決算書を読むことで「投資の失敗」「勤務先の倒産・リストラ」「就職失敗」といった「大きな人生の損失」を避ける可能性を高められると感じた1冊だった。

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