『<貧乏道>を往く』(川上 卓也 (著), 春秋社, 2008)を読んだ。
著者は高校を卒業後、会社員を約5年続けたのち早期退職して「写真家」となった。
が、写真の収入は皆無なのでバイトで生活している。
会社を退職したときの貯金は100万円ちょっとで、退職後の月収は7万円だ。
「100万円」は「1,000万円」の誤りではなく「百万円」だ。
月7万円でどうやって生活しているのだろう。
月収7万円の豊かな暮らし
ふつうなら「月7万円しか使えない生活なら、節約しまくって貧乏生活に耐えている」と思うかもしれないが、そうでもない。
月七万円でなんでもかんでも済ませるというのも慣れてしまえば簡単なんです。生活という場から余計なものを排除してしまえば、生活費も余ります。はっきり言って、僕は豊かに暮らしていると考えていますし幸せです。
p. 14
月収7万円で「豊かに幸せに暮らしてお金が余る」のがすごい。
生活費は年間で80万円程度だろう。
もし、ある程度の貯金があって、著者のようなセミリタイア生活ができれば楽勝じゃないか。
「潤沢な自由時間」というぜいたく
月収7万円のバイトの労働時間は月100時間未満で、残りは自由時間だ。
アルバイトは月に一〇〇時間にも満たないですから、月々六〇〇時間以上は自分のために使えるのです。僕にとって、これ以上の贅沢はありません。願わくば、アルバイトをしなくても暮らせるようになれば、まさに遊んで暮らしていることになるのです。
p. 14
つらい思いをして「収入」を増やすより、生活費は確保しつつ楽して「自由時間」を増やすことを優先させる……まさに「セミリタイア」の思想だ。
超低コスト生活は戦略的に
著者のように月収7万円でも貯金ができた上に生活に豊かさを感じるにはどうすればいいか。
本書では「戦略」が大事だという。
「戦略的に貧乏」になるのだ。
「貧乏」というとネガティブに響くが、要は「超低コスト生活」だ。
どのように「戦略」を策定して実践すれば、豊かな超低コスト生活が実現できるか。
くわしくは本書を参照してほしい。
本書で示されている「戦略」を一言でいえば「選択と集中」だ。
(突き詰めれば「早期リタイア生活」と「企業経営」は通じるものがある)
限られたお金・時間・マンパワーといったリソースをどのように有効活用するかがカギだ。
まとめ
貯金が100万円で会社を辞めても、退職後の月収が7万円でも、「戦略」の方向性(ベクトル)が正しければ心豊かな早期リタイア生活を送ることができる、と本書を読んで思った。