「好きなことを仕事にしたい」「仕事がつらい」「仕事がない」……そもそも、「仕事」とは何なのだろうか?
『国語 算数 理科 しごと―子どもと話そう「働くことの意味と価値」』(岩谷誠治(著), 日本経済新聞出版社, 2007) を読んで大いに納得した。
仕事とは
仕事とは「約束を守ること」(p.23)
「好きなことを仕事にするには、約束を守らなければならない。約束が守れるならば好きなことができる」たったこれだけ。(p.24)
仕事って、そんな複雑なものでも、難しいことでもない。
約束を守ること
たったこれだけのこと。
「好きなことを仕事にしたい」ならば「約束が守れる人」になればいい。
しかし、これができない人が社会にはゴマンといる。待ち合わせの時間を守らない、納期を守らない、返済期限を守らない、などなど。
「仕事ができない人」というのは、
- 約束を守らない上に、謝らない人
- 約束が守れないことを他人のせいにする人
- 約束が守れそうにないことを事前に報告しない人、隠す人
やむをえず約束が守れなくても、謝罪してキチンと後始末ができれば、それは「仕事ができる人」だ。
本書は、父と小学生くらいの娘が「仕事」について色々話しあう形式を取っているが、子ども向けの本ではない。
「約束とは会計で表現できる」として、複式簿記について学ぶことができる。簿記や会計の知識がなくても大丈夫。読み終える頃にはバランスシートの知識を身につけることができる。
バランスシートの知識は必須
バランスシートの知識がないと、仕事で使う会計だけではなく、「財政赤字問題」「年金問題」「貿易収支問題」が理解できない。
「国債が1000兆円を超えて大変ダー」「少子高齢化で年金が大変ダー」「貿易赤字で大変ダー」と不安になるのは「バランスシートで問題を把握していないから」。
バランスシートが理解できないと「お金は使うとなくなる」と誤解する可能性が高い。
とにかく、「仕事とは何か?」「会計とは何か?」について、これだけシンプルにわかりやすく書いた本はない。
「仕事ができるビジネスパーソン」になりたいのであれば「約束を守れる人」になればいい。「約束を守れる」能力は世界中で通用するはず。
気軽に約束しない人は、もっとも誠実に約束を守る。 <ルソー>
複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ。 <ゲーテ>