橘玲『臆病者のための裁判入門 』(文春新書, 2012)を読んだ。
自動車事故に巻き込まれて保険会社に保険金を請求したら、支払いを拒否された……。
こんなとき、どうやって解決すればいいか?
本書は、著者が巻き込まれた「保険金不払い事件」の裁判の顛末を記録した「一般人のための民事裁判マニュアル」だ。
裁判というと一般人は無関係と思われると思うが、そうでもない。
裁判沙汰になった時に役立つ一冊
本書にある「保険金の不払い」の他に「近所同士のトラブル」「カネの貸し借りトラブル」など、「金額が小さい案件」で裁判沙汰となる可能性は大いにある。
「日常生活のいざこざ」で大事なお金と時間を失いたくないという人には一読の価値がある。
本書では、著者の知人であるオーストラリア人「トム」が、友人から借りたバイクを運転中に自動車と接触する、という事故に巻き込まれる。
トムが保険会社に保険金(12万円)を請求しようとしたら、保険会社の担当者が相手にしてくれないらしく、著者に助けを求めてくる。
保険会社が保険金を払ってくれない
実は、保険会社の担当者はトムに嘘をついて保険金を払おうとしなかったのだ。
トムと、トムの代理人となった著者は保険会社に抗議するが、保険会社は「担当者が顧客に嘘をついて保険金を払わなかった」という事実を隠ぺいするために、嘘に嘘を重ねる。
そして、争いの場は「法廷」へ。
裁判に勝って、保険会社の嘘は暴かれるのか、保険金は支払われるのか……結末は本書で。
※トラブルに巻き込まれたら、当人同士で解決しようとせずに、本書ですすめているような「法テラス(日本司法支援センター)」などの低コストで弁護士に相談できる公的機関を利用したほうがよさそうだ。