ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(亀山郁夫/訳 光文社古典新訳文庫 2006) に再挑戦中。
数年前、サラリーマン時代に購入して読もうとしたが、途中で挫折した。
読み始めて、一番心に刺さった言葉。
現実主義者が信仰に導かれるのは、奇跡によってではない。まことの現実主義者で、かつ何の宗教も信仰していない人間は、どんなときも奇跡を信じずにいられる強さと能力をもっているものである。
第1巻 p.64
つまり、現実主義で無宗教な人間は「信じたことは現実化する」という「強さと能力」を持ち合わせている、と読み解いた。
例えば、「お金があるから安心」なのではなく「お金はいつでも稼げる自信があるから安心」なのだ。
日本人は「自分は無宗教」という人が多いと思うが、何にも依存しないほどの「強さと能力」を持っているだろうか。
わたしは、ない(キッパリ)。
※※
『カラマーゾフの兄弟』に再挑戦しようと思った理由は、「セミリタイア生活で時間ができたから」、というだけではない。
亀山郁夫『そうか、君はカラマーゾフを読んだのか。: 仕事も人生も成功するドストエフスキー66のメッセージ』(小学館 2014) という本を読んだのが大きい。
カラマーゾフの兄弟に込められたドストエフスキーのメッセージをやさしく解説した本だ。
小説の中にたくさん出てくる登場人物のキャラクターも頭の中で整理できる。
わたしの場合「そうか、君はカラマーゾフを読んだのか。」ではなく「そうか、君はカラマーゾフを読みかけて1巻の途中で挫折したのか。」だが……。
サブタイトルに「仕事も人生も成功するドストエフスキー66のメッセージ」とあるように、『カラマーゾフの兄弟』の実生活への役立て方も。
「恐怖とはありとあらゆる嘘の結果に過ぎませんがね」
ドストエフスキー小説のような難解な古典に挫折した人は、まずは初心者向けの解説本かマンガから入るというのも手だ。