『脳はこんなに悩ましい』(池谷裕二・中村うさぎ(著),新潮社, 2015) を読んだ。
本書を読んで、都会暮らしに疲れた人が「田舎に移住する」のは、脳科学的には効果がある行為であることがわかった。
理由は、人間の脳は「田舎暮らし」に適応している(都会向きでない)からだ。
人間の脳は田舎向き
大勢の人が都会に住むようになったのは、せいぜいこの数十年の話です。しかし脳は、都会に住むようにはデザインされていません。進化の過程を考えればわかりますが、人間の脳は、どちらかといえば田舎暮らしに適応しています。近代化の中で、脳にとって不自然な環境が、あまりに急に訪れてしまったために、脳が自分自身を適応させるのにまだ苦労しているのだと思います。
p. 90
わたしも「東京に住んで消耗した」経験があるからよくわかる。
サラリーマン時代、それまで緑の多かったところから東京に転勤して、体調が悪くなった。
こんな症状がよく起こった。
- 朝起きたらめまいがひどくなって起きられない
- 出社しても体が固まって動かず、仕事を開始するまで1時間くらいかかる
- 勤務中に席に座っていられなくなって、会社のビルの外へ出てなんとか落ち着く
思えば、東京で消耗したことが、退職の原因のひとつになったのかもしれない。
都会にいると不安になる?
本書によると、都会ぐらしは田舎暮らしに比べて「心が不安定になりやすい」という。
都会に住んでいる人の不安障害の発症率は、田舎暮らしの人に比べて二十一%も高いですし、気分障害の発症率にいたっては三十九%も高いのです。私が驚いたのは、不安に関係する脳領域の反応を見ただけで、「この人は都会で暮らしている」と判定できるのだそうです。
p. 90
東京で働いて出世できる人というのは「脳が人間らしくない人」なんだな。
都会でバリバリ働いていても、不安障害・気分障害のようなメンタル不調にならないような人。
わたしの場合、「東京には向いてない」と判断して、いろいろ社内で画策して東京から離れることに成功した。
その後、サラリーマンから足を洗って、現在は平穏に暮らしている。
結論
人間の脳が喜ばないことをしても長続きしない。
目次
第一章 ひらめきの男、直感の女(常にフル活動する脳/美と病のあいだ ほか)
第二章 ダマし合う脳と身体(アルツハイマー治療薬で医療費が爆発!?/「美しい」には法則がある ほか)
第三章 脳はなぜ生まれたのか(脳とうつ病の関係/驚異の「睡眠リセット力」 ほか)
第四章 脳は遺伝子から自由になれるのか(遺伝子診断をやってみた!/ハゲと耳アカは遺伝で決まる ほか)
※田舎暮らしをしながら無理せず生活の糧を得るための1冊。
目次
第1章 ナリワイとはなにか(ナリワイで生きるということ/そもそも仕事は自分でつくるものだった ほか)
第2章 人生における支出を点検し、カットする(そもそも人はどれくらいお金が必要なのか?/不安の出所はどこだ? ほか)
第3章 ナリワイをつくろう!(未来を見る/ナリワイの形をつくる ほか)
第4章 ナリワイをやってみる(情報よりも現場百ぺん/適正な価格を検討する ほか)
第5章 ナリワイはみんなでやればもっと楽しい(最も強いリスクヘッジとは?/現代社会の幻影を疑え! ほか)