別宮暖朗・兵頭二十八『大東亜戦争の謎を解く―第二次大戦の基礎知識・常識』(光人社 2006)を読んだ。
わたしも誤解していたが、日本軍というのは「軍部の独断」で好き勝手に動かせる組織ではなかった。
現在の自衛隊よりも手続きのガードが固く、動かしにくい組織だった。
「憲法9条があるから有事の時に自衛隊は動けない」とよく言われるが、自衛隊より動かしにくい日本軍はなぜ軍部の独断で動けたのか。
自衛隊より動かしにくかった日本軍
実は、戦前の日本軍というのは自衛隊より動かしにくかった。
日本軍を動かすには法律で何重ものハードルが設定されており「軍部の独断」で好き勝手に暴れまわることはできなかった。
よく誤解されているが、戦前の日本軍を動かすのは、現在の自衛隊を動かすより難しい。内閣、枢密院そして天皇の裁可が必要で、それは膨大な量のペーパーワークを伴った。
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もし、正式な手続きを踏まずに勝手に日本軍の部隊を動かしたら、軍法で処罰されるはずだった。
1931年の満洲事変では、正式な手続きをすっ飛ばして関東軍が独断で動いたが、あまりにも結果が良すぎて国民が熱狂的に関東軍の行動を支持した。
日本は「国民の支持」があれば、法律なんて吹っ飛んでしまう国柄なのかもしれない。