Kindleの幻冬舎作品セール(~2016.2.25)で『作家の収支』(森博嗣著 幻冬舎新書 2015)をダウンロードして読んだ。
セール中は468円だったが、セール終了後はさらに234円に値下がりしている! なんじゃそりゃー(2016.2.26 7:00時点)。と思ったら、また760円になっている(2016.2.27 13:50時点)。Kindle本って、株価のように変動するのか。
本書には「小説家という職業の”収入源”」がかなり具体的に書いてあった。
印税だけでなく、講演のギャラ、新人作家の推薦文の報酬、入試問題や教科書に作品が採用された場合に収入はあるのかなどなど、「具体的な金額」が書って、読者の「のぞき見趣味」を大いに満たす。
収支データの提供
著者が本書を書いた目的は「これから小説家として売り出していきたいという人のためのデータ提供」とのこと。
単に「小説家って”時給100万円”?!うらやましい!」と嫉妬するだけで終わるのはもったいない。これからも他人に嫉妬するだけの人生になる。
そういった感情よりも大事なことは、自分にもこれくらいのことができるのではないか、これは自分には少し無理かもしれない、という自己観測だ。人生設計のための有益なデータとして取り入れてもらいたい。この本の存在意義はそこにある。
本書の内容は、小説家という仕事をする個人が、どのように、そしてどれくらいの収入を得ているのか、というデータである。
具体的にいくら稼いで、どんなことにお金を使っているのかはネタバレになるので本書を読んでください。
物書きとは
収入については、デビュー(1996年)から2014年までの印税収入(年収)がグラフで表示されていた。
収入の推移がなんとなく「日経平均株価」とグラフの形が似ていてちょっと面白かった(リーマン・ショックの翌年にドカーンと落ち込んだり……)。
いくら稼げるかだけでなく、物書きの本質も書いていて興味深い。
そもそも、物書きとはいうのはみっともないことを書いて、これを売り物にしている商売である。
ちょっと、ブログを書くハードルが下がった。
収入ゼロでも自由に生きる
作家というビジネスがおいしい(強い)のは「支出」を自由にコントロールできるからだ。
作家という職業は普通は赤字にならない。収入がゼロになっても支出がゼロにできれば赤字は避けられる。これもまた、作家というビジネスの強みなのだ。
(中略)
調子が悪くても、無駄に見栄を張って良い顔をする必要がない。これも作家の強みだろう。
収入に合わせて柔軟にライフスタイルを変えて支出をコントロールできれば、生きていくのにそれほどお金はかからない。
世間の人々が「収入を上げる」ことに必死になるのは、「支出をコントロールする」という選択肢を失っているからじゃないだろうか?
作家だけでなく、サラリィマンを辞めて定収入がなくなってもなぜセミリタイア生活を送れるのか、そのヒントが書いてあった。
目次
まえがき
森博嗣って誰?
作家って儲かるの?
自慢とは何か?
本書の内容は?第1章 原稿料と印税
第2章 その他の雑収入
第3章 作家の支出
第4章 これからの出版あとがき
少なくとも、浮き沈みのない作家だった
歳を取ってもできるみたいだ
今までよりももっと自由に
▼小説家、物書きとしてやっていくための心構えを知るためにはあわせて読みたい。
▼「売れる小説」の書き方を手取り足取り学ぶための書。
朝日新聞社
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