『あなたの財布に奇跡が起こるお金の習慣』(加谷珪一(著), かんき出版, 2014) を読んだ。
ふつうのサラリーマンがお金持ちになるためには「稼ぎ方のノウハウ」を身につけるのではなく、考え方を「投資家」にチェンジする必要がある、と説く本だ。
本書で紹介されていた「不満の反動で会社を辞めて起業」しようとするサラリーマンのエピソードがおもしろかった。
早期退職してセミリタイアをしようと考えている人にも参考になると思う。
セミリタイアも一種の起業のようなものだからだ。
ただし、ゆる~い起業だ。
会社に不満があるから起業したい
とある中堅企業の課長が会社を辞めて独立しようとしていた。
しかし、彼の妻は大反対だった。
そこで、彼は知人の実業家に妻を説得するように依頼したらしい。
成功した実業家が説得すれば妻も納得するんじゃないかと考えたのだ。
一番大事な「家族の合意をとりつける」行為を他人まかせにするなんて、ちょっと姑息な夫だ(笑)。
結局、その実業家は説得の依頼を断った。
「起業の動機」が危ういからだ。
その動機とは、
「これまで自分はサラリーマンとして、我慢の人生を重ねてきた。だが、今のままでは老後の生活は不安だ。人生の後半戦は、悔いのないように生きたい」
だった。
本書では、この動機で起業を決断してもダメだろうと評している。
なぜなら、彼の本音は「会社を辞めたくない」だからだ。
「定年まで会社にいて安定した収入を確保したい」
というのがこの起業家志望の課長の本心だというのだ。
「辞めたい!」と言いながら、心の中では「これからも会社で我慢できるなら我慢して”安定収入”と”安定雇用”をガッチリと確保したい」と思っている。
単に会社に不満があるから「愚痴」として「会社を辞めて独立してやる!」と言っているだけ。
退職は計画的に?
このエピソードを読んで、わたしも「危うい動機」で会社を辞めたんじゃないかと思い返した。
上記の起業家志望の課長の動機と似ている。
「40代までサラリーマンとして我慢してきた。だが、これから人生の後半戦はやりたいことをやって悔いのないように生きたい」
という言葉がぴったりとわたしの退職理由と一致する。
起業の場合、「会社に不満がある」という理由だけで突っ走るのは危ういかもしれない。
会社を辞めてどんなビジネスをするのか、具体的な計画がなければ「無駄に時間とお金を浪費するだけ」で終わりそうだからだ。
セミリタイアは起業よりローリスク
「セミリタイア」の場合はちょっと違う。
ある程度貯金を作って、当面の生活費を確保してから退職するから、精神的に余裕がある。
セミリタイアの場合、初めから「莫大な収入」を期待していない。
だから、お金を稼ぐことで無理をしない。
過剰なリスクは取らない。
投資をしたとしても大きな失敗はしない。
莫大な収入は期待しないから、支出もそれほど大きくすることもない。
会社に不満があるからセミリタイア
という動機で退職しても、問題はない。