『徒然草』の「お金持ち」についての分析が面白い。
結論は「お金持ち=貧乏人」なのだ。
『徒然草・方丈記―日本古典は面白い』 (大伴茫人(編),ちくま文庫,2007)の「徒然草・第217段」で、ある大金持ちが「蓄財の極意」を語っている。
『徒然草』『方丈記』は日本の世捨て人の2大バイブルだから、リタイア志望者や実践者はおそらくもう読んでいると思うが、簡単に要約すると次のようになる。
蓄財の極意
とある大金持ち(大福長者)が語った「蓄財の極意5ヵ条」は次のとおり。
- この世は確実に存在して、無常だと考えるな→リアリストになれ
- 欲望をすべて満たそうとするな→お金や時間がいくらあっても足りない
- お金があるからといって自由に使ってはいけない
- たとえ恥をかかされても怒ったり恨んだりするな
- 正直に行動して約束を守れ
以上のことを守って、慎ましく生活していれば、いつまでも安心して生きられる。
というのが大金持ちが語る「蓄財の極意」だ。
現代でも通用する法則のように思える。
これに『徒然草』の著者である兼好法師がツッコミを入れる。
お金を使わない金持ちは貧乏人と同じ
しかし、そもそも人は願いを満たすために財産を求める。銭を財宝として大事にするのは、願いをかなえるためである。願うことがあってもかなえず、銭があっても使わないのでは、全く貧乏人と同じではないか。何を楽しみとするというのだ。
pp.269-270
つまり、
お金があっても使わないお金落ち = 欲望があってもガマンして、貧乏に耐える人
だというのだ。
「お金がたくさんあっても使わないのだったら、お金持ちも貧乏人と同じじゃないか」
ということだ。
でも、、、自分で働いて貯めたお金って、なかなか使えない(笑)。