藤野英人著『投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)』を読んだ。
本書では「日本の投資信託の90~95%ぐらいがTOPIXなどをベンチマークにした『ミラーファンド』だ」と指摘する。
インデックスファンドのほとんどがTOPIX連動型らしい。
理由は、
運用会社がサラリーマン企業だから。
ここでいう「サラリーマン」とは「客の利益より、自己保身を優先させる者」だ。
インデックスファンドは「減点方式の人事制度」から生まれた
ファンドの運用担当者の評価が、「減点方式」になっているらしい。
つまり、ファンドの運用が成功して利益を上げても給料は上がらないが、失敗すると評価が下がる。
運用に失敗してもTOPIX連動型なら言い訳ができる。
「私は悪くありません、TOPIXが悪いんです」と。
つまり、インデックスファンドは「運用担当者の責任が問われないこと」が最優先になっている金融商品だ。
「責任を問われずにうまく立ちまわる」というのはサラリーマンが生き残るための鉄則だから、投資行動にもそれが出てしまうのだろう。
勇気がある運用担当者が無名だが有望な投資先を上司に提案しても、「知名度がない、大企業でない」という理由で却下される。
サラリーマンも投資家も、リスクを取らない(失敗を異常に恐れる)体質が染み付いてしまっているみたいだ。
大企業信仰
自分の過去の投資先を見ても、大企業がほとんどだった。
中小企業に投資する時は徹底的に調べたが、大企業の場合はブランドや知名度で選んでいた場合が多かった。
リスクを取らない体質が染み付いているのは、デフレのせいとも言える。
デフレ下では「何もしない」のがいちばん賢明な行動だからだ。
具体的には、ひたすら貯金を積み上げて消費を極力抑えてじっとしていればいい。
現金さえ持っていれば自然に資産が増えていくのだから、リスクを取って株式投資する必要はない。
預貯金か個人向け国債国債で十分だ。
日本人の個人資産のほとんどが預貯金なのも、日本人が経済合理的に行動したためだ。
ケチだからではない、投資しても損する可能性が高いからだ。